2005 Fiscal Year Annual Research Report
DnaK分子シヤペロンによるDNA複製開始タンパク質の活性化過程の解明
Project/Area Number |
17028029
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 邦夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10116105)
|
Keywords | DnaK分子シャペロン / Fプラスミド / 複製開始タンパク質 / RepE / RepE二量体 / RepE-オペレータ複合体 / 結晶化 |
Research Abstract |
DnaK分子シャペロン(DnaK,DnaJ,GrpE)は細胞内で合成途中のポリペプチドやタンパク質のfolding,サブユニットの会合,膜透過,分解等に働く.同時に,複製開始因子や転写因子の活性化を助ける機能も持つが,これらの作用機構の詳細は明らかにされていない.大腸菌ミニFのDNA複製開始系はこの研究の一つのモデル系として優れている.われわれはこれまでに,DnaK分子シャペロンがミニFのDNA複製開始タンパク質RepEを活性化するのに必須であること,RepEの単量体がイニシエーター,二量体がrepE遺伝子のリプレッサーとして機能すること,in vitroでRepEの安定な状態は二量体であり,二量体から単量体への変換はDnaK分子シャペロンによって行われること,DnaKとRepEが複合体を形成することなどを明らかにした.本研究は,この変換機構の詳細を分子レベルで明らかにすることを目的とするが,今年度の成果は次のものである.1)RepEの合成過程でのシャペロンの関与の検討と結晶化条件検索を目的として,in vitroでrepE遺伝子からRepEタンパク質を合成する系を構築するための予備実験を行った.2)DnaK分子シャペロンとの相互作用ができないRepEの変異体の解析を行った.変異体のリプレッサー活性は正常であるが,イニシエーター活性は不活性であり,二量体は形成できるが,単量体への変換が正常でないことが示唆された.3)構造決定を目的として,RepE二量体とオペレータとの複合体を調製し,いくつかの結晶化条件で予備的な結晶を得ることに成功した.今後,すでに分離したRepE変異体の解析の結果を考慮し,RepE-DnaKまたはDnaJとの複合体の結晶化・構造解析を行い,DnaK分子シャペロンによるRepE二量体から単量体への変換機構を分子レベルで解明する.
|