2005 Fiscal Year Annual Research Report
液中高速原子間力顕微鏡による分子シャペロンの1分子反応機構解析
Project/Area Number |
17028031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 成弘 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (90346106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日詰 光治 京都大学, 生命科学研究科, 教務職員 (10378846)
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Keywords | 原子間力顕微鏡(AFM) / 分子シャペロン / 高速AFM / 1分子観察 |
Research Abstract |
本研究では、液中高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いて、分子シャペロンGroEL/GroESの"ナノスケール・ミリセカンド反応観察"という新しい実験手法を確立し、タンパク質フォールディングの分子メカニズム解明することを目的とする。これまでに以下の成果が得られている。 1.直径1mmの液中高速AFM用試料台上にGroELの二次元結晶を作製し、観察する手法を確立した。 2.液中高速AFM装置に水銀ランプを取り付けることによりCaged-ATP等のCaged試薬が利用可能となり、時空間的反応の制御および反応のリアルタイム構造解析が可能となった。 3.ATP存在下におけるGroELのGroESとの結合・解離反応に関しては、既に吉田・船津らのグループにより報告されている一分子蛍光による実験結果(Nat Biotechnol(2001)19,861-5 ; Mol Cell(2004)14,423-34)とほぼ同等の結果(GroESの結合時間分布・速度定数)が得られた。 4.ATP存在下(かつGroES非存在下)においては、GroELの高さがおよそ1nm高くなる(open型)構造変化が観察された。この構造変化は、ADP存在下においても同様に観察された。一方で、ATPアナログ(AMP-PNP)存在下あるいはANP非存在下においては、この種の構造変化は観察されなかった。 5.ATP・ADP存在下においてGroELのopen型構造が観察されるが、その構造は安定なものではなく、open型・close型の構造変化をくり返していることが明らかとなった。その際のopen型構造の構造寿命に関しては、ATP・ADP存在下それぞれにおいて、ほぼ同じ値を持つ。これらの実験結果から、GroELのopen構造への構造変化には,ATPではなくADPの結合が重要な役割を果たしているものと考えられる。 6.現在、東京農工大学の養王田先生との共同研究で、既にGroup IIシャペロニンの反応観察に取り組んでいる。
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Research Products
(6 results)