2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17028032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遠山 正彌 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40028593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 秦丈 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00343252)
井上 浄 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20342719)
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Keywords | アルツハイマー病 / 神経細胞死 / プレセニリン2スプライシング変種 / 小胞体ストレス / カスペース4 |
Research Abstract |
我々はアルツハイマー病に置ける神経細胞死が小胞体の機能異常を起源とする事、家族性ADでは遺伝子異常にリンクするタンパク質が,弧発性ADではエクソン5を欠損するプレセニリン2スプライスング変種が小胞体に存在するタンパク質センサーの機能を障害する事を明らかとしてきた。これらのセンサーは小胞体ストレスが加えられると小胞体内に発現する折りたたみ不良タンパク質を感知し正常化させるシグナルを出す。家族性ADでは遺伝子にリンクする権威蛋白が,弧発性ADではPS2Vがこれらセンサーと結合しセンサーの機能を障害する。それゆえAD患者神経細胞に小胞体ストレスが加わると本来正常化されるタンパク質が正常化されずに小胞体内に過剰蓄積する。しかしこの状態から何故神経細胞死が惹起されるかは不明であった。本研究ではこの機序の解明を行った。さらにPS2Vが弧発性ADに置ける神経細胞死のキー因子であるか否かの検討も合わせ行った。前者についてはまず小胞体ストレスを負荷するとカスペース4の活性化する事を見いだした。この活性化は小胞体ストレス以外の刺激では惹起されず、小胞体ストレスに特異的な反応である事がわかる。カスペース4の発現をsiRNAにより低下させた細胞に小胞体ストレスを負荷すると細胞死が抑制され,逆に発現増強させると細胞死が促進する。またカスペース4は小胞体膜に存在する事も明らかとするとともにカスペース4の活性化はカスペース3の活性化を引き起こすことも見いだした。さらにAD患者の脳でカスペース4が老人斑の存在する部位で活性化していることも明らかとなった。以上の事実はAD患者では小胞体ストレスが負荷されると小胞体中に折り畳み不良タンパク質が過剰蓄積し,カスペース4が小胞体から遊離活性化,次いでカスペース3が活性化し神経細胞死が引き起こされる事が明らかとなった。また後者の研究ではAD患者の脳でのPS2V発現は痴呆の始まる極めて早期に発現しPS2VがAD神経細胞死のキー因子である事が証明できた。
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