2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルパインによる筋細胞監視システムとその破綻による筋ジストロフィー
Project/Area Number |
17028055
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
反町 洋之 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10211327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 弥子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (20392376)
秦 勝志 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10392375)
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Keywords | カルパイン / シグナル伝達 / 酵素 / タンパク質 / プロテオリシス / 筋ジストロフィー / コネクチン / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
骨格筋細胞は動的な結晶とも言うべき高次構造を持ち、動力を生ずるが、その結果常時物理・熱ストレスに曝される。これに対して筋細胞は多くの熱ショック蛋白質を発現する他、細胞の損傷をモニターし、速やかに補修を行うメカニズムを有する。その中心的役割を担うのが筋原線維の反復単位の半分(約1μm)を一分子で結ぶ巨大弾性線維蛋白質コネクチンである。コネクチンはそのZ線、N2A、M線の少なくとも3領域で筋特異的カルパインp94、MARPs、MURFs等を含む多分子複合体を形成する。興味深いことにこれらの分子は、その遺伝子変異によって筋ジストロフィーを発症したり、筋萎縮時に発現が昂進することが判明している。そこで我々は、筋細胞の状態をこれらの複合体がメカノセンサーとして感知し、様々な情報を核へ伝達し反応するという作業仮説に基づき、コネクチン、p94、MURF1の遺伝子変異マウスを用いてその分子的実体を解析した。一般に、変性タンパク質の監視・除去にはユビキチン-プロテアソーム系の関与の大きいことが知られているが、骨格筋細胞においてはカルパイン系との連携が興味深い。例えば、ユビキチンリガーゼMURF1は、筋萎縮時に発現が昂進するが、その局在(M線領域)はp94と一致する。本研究では、上記3種の遺伝子変異マウスとその相互交配種を用いて、カルパイン系とプロテアソーム系がどのように連携して骨格筋細胞内タンパク質の品質管理を、そして最終的には筋細胞の機能を保護しているのかを明らかにしていくことを目指した。本年度は、これらの交配種を作出し、マウス筋組織の詳細な形態学的解析を開始した。また、マウス筋組織のプロテオーム的、生化学的解析(特にプロテアーゼ活性の視点から、蓄積するタンパク質、消失するタンパク質などに注目した)などを行い、いくつかの興味深い分子を同定した。
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Research Products
(4 results)