2006 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解可視ポンプ-赤外プローブ分光法による固/液界面電子移動ダイナミクス
Project/Area Number |
17029002
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
八木 一三 独立行政法人産業技術総合研究所, 固体高分子形燃料電池先端基盤研究センター, 研究チーム長 (40292776)
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Keywords | フェムト秒レーザー / 時間分解振動分光 / Ru三核錯体 / プルシアンブルーナノ粒子 / 和周波発生分光 |
Research Abstract |
本年度は主として、均一系であるRu三核錯体およびプルシアンブルーナノ粒子の光励起振動ダイナミクスの計測と光励起時間分解和周波発生分光系の構築に注力した。Ru三核錯体の光励起振動ダイナミクス計測については、これまでよりもより高い時間分解測定を行ったところ、従来観測されていた配位COのホットバンド(本来の吸収バンドと比較して若干低波数側に観測されていた)は、最初から低波数側に現れるのではなく、まずバンドの広がりが認められ、数百フェムト秒以内に波数シフトを示していることがわかった。これは、以前報告されている、Ru単結晶表面に吸着したCO分子の光パルス照射後のフォノン変換現象と酷似しており、おそらく三核といえどもRu30格子内でフォノンの生成が起こっているためと考えられる。また、プルシアンブルー(PB)ナノ粒子については、PBの電荷移動バンドを励起した際に、生成する緩和した双安定状態と目される、近赤外領域の吸収と、中赤外領域の吸収バンドが明確に観測された。この吸収バンドの時間分解応答は、以前報告されている、水溶性のPBコロイドと比較して遙かに長寿命であり、ナノサイズ化の影響が明確に観測されたと考えられる。一方、時間分解光励起和周波発生(SFG)分光システムの構築については、現在、ようやく可視-赤外SFG測定が可能になった段階であり、新たにポンプ光のラインを増設することができたが、ポンプ光の波長が限定されるために、対象とする測定系を適切に設定できなかった。今後、電極/溶液界面における水の時間分解挙動に着目して実験を展開する予定である。
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Research Products
(2 results)