2005 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン増感光起電デバイス内の光電流変換過程の直設観測
Project/Area Number |
17029008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 攻 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30006332)
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / 光物性 |
Research Abstract |
フラーレン増感光電変換デバイスは、電極表面へのフラーレンの浸漬過程に問題があり、使用している有機溶媒中のフラーレン濃度が絶対的に不足しているため、光電変換効率が上がらないと考えられている。電極への浸漬過程において、最も問題となるのは、浸漬過程で用いる有機溶媒へのフラーレンの溶解度であって、有機溶媒へのフラーレンの溶解不足から浸漬速度が上がらないためだと考えられる。従って、今年度は、SnO_2への浸漬速度を上げるため、有機溶媒への可溶化を念頭に置いた、フラーレン誘導体を設計した。具体的には、SnO_2への吸着サイトとしてカルボキシル基を有し、なおかつ可溶化のために直鎖アルキル基を導入した分子を合成した。その後、テトラチアフルバレン(TTF)などを電子ドナーとし、ヨウ素イオンを電子供給サイクルとした光電変換デバイスを構築した。このようにフラーレン誘導体を十分に吸着したSnO_2アモルファスおよびSnO_2微粒子を基本に、電子ドナー源でとして、可視部に吸収のない水溶性アミンやドナー性の高い芳香族アミン等を利用した。SnO_2コロイドを共存させた有機溶媒中、レーザーフラッシュホトリシスにより光誘起電子移動過程の直接検討も行い、速度論的なパラメータと電子移動量子収率を得た。 作成した光起電デバイスは、用いた電子ドナー源の酸化電位に応じて光電変換効率が異なり、これは、均一溶媒系でのフラーレンと電子ドナーとの光誘起電子移動反応の効率と傾向が一致していた。従って、今回構築したデバイス中では、フラーレンと電子ドナー間の光誘起電子移動過程が起点となった光電変換過程が観測されていると結論した。
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Research Products
(6 results)