2006 Fiscal Year Annual Research Report
粒子径を制御した酸化チタン多結晶薄膜の光誘起体積膨張
Project/Area Number |
17029017
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中島 章 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (00302795)
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Keywords | 酸化チタン / 光触媒 / 親水化 / 真空紫外光 / 粒径 / 粒界 |
Research Abstract |
試薬のTTIPと市販のTTIP溶液を混合・加水分解後、シリコンにコーティングし、真空紫外光を照射してから大気中500℃で焼成を行ったアナターゼ多結晶薄膜(以下、微構造制御した薄膜と記述する)は、単一アルコキシド、大気焼成のみにより作製された薄膜(以下、通常の薄膜と記述する)と比べ、薄膜の結晶性はほぼ同じであったが、膜表面での粒子が成長していた。このような微構造は2種類のアルコキシドを混合することで前駆体薄膜中での加水分解を不均一にすることと、焼成前に十分な光量の真空紫外光照射を所定時間照射することが必要であることが判った。 このようにして微構造を制御した薄膜に紫外線を150秒間照射し、その後、光を遮断して疎水化する際の構造変化を、AFMのタッピングモードにて連続観察すると、像と表面粗さの連続的な変化が観察された。像の変化は粒界が顕著であり、感知レバーと試料の間隔、或いはその間の相互作用が連続的に変化していることが考えられた。また薄膜エックス線回折から、この微構造を制御した薄膜は通常の薄膜に比べ膜応力に違いがあること、また紫外光照射により表面近傍の格子が僅かに大きくなることが確認された。このことからAFMで検出された表面粗さと像の変化は、表面の高さが連続的に変化しているために起きている可能性が高いと考えられた。 このTiO_2薄膜に、大気、またはドライエア中で紫外光を照射し続けながら、AFMのタッピングモードにて連続測定を行った際の平均表面粗さの変化を計測した結果、紫外光照射開始後は表面粗さにほとんど変化が見られなかったが、約15分の照射後、AFM像の変化とともに表面粗さの増加が見られた。一方、ドライエア中では表面粗さの変化の開始が大気中に比べて遅くなった。これらのことから、酸化チタン表面の光誘起表面粗さ変化は、大気中からの水の吸着に伴う表面構造変化であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)