2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機色素と無機半導体を複合化したLB膜による階層型光電子移動系の構築
Project/Area Number |
17029025
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宇佐美 久尚 信州大学, 線維学部, 助教授 (60242674)
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Keywords | LB膜 / 半導体 / 光電子移動 / 有機・無機複合膜 / ルテニウム錯体 / ビオロゲン |
Research Abstract |
植物の光合成中心の精緻な分子配列を模した高効率光電子移動反応系として、有機色素と無機半導体層を積層した複合LB膜を作製した。有機層として長鎖アルキルルテニウムトリスビピリジン錯体(DCnRu,アルキル鎖の炭素数n=13-19)およびジアルキルビオロゲン(DCnV,アルキル鎖の炭素数n=14-18)を、無機層にはバナジウム酸化物(VO)およびモリブデン酸化物(MO)を用いた。これらの複合単分子膜をシリコンウエハ上に製膜し分子間力顕微鏡で観察すると、1μm角の領域で表面粗さが0.5nm以下の極めて平滑な膜が得られた。 DCnRu-VO系複合膜をITO基板上に作製し、メチルビオロゲン水溶液中に浸漬して電流-電位曲線を測定した。ITO電極が作用極の場合には約-0.5V(vs.Ag/AgCl)にビオロゲンラジカルカチオンへの還元に由来するピークが現れた。しかし、DCnRu-VO系複合膜を積層した電極では暗所で還元波が観測されず、光照射時に光強度に応じて-0.45Vに還元電流が観測されたことから、光スイッチとしても期待できる。 石英導波路上にDC_<19>Ru-MO-DC_<16>Vの三元系膜を作製し、積層順序により積層方向の光電子移動を制御できることを見出した。すなわち、基板上にDC_<16>V-MO-DC_<19>Ruの順に積層した場合には、最表面に犠牲的電子供与体となるトリエタノールアミン水溶液を接触させて光照射すると、400nmの吸収帯の増加を確認した。この吸収帯はITO基板上に製膜したDCnV-MOを電解還元して得られるスペクトルとよく一致することから、ビオロゲン層の還元体に帰属できる。一方、積層順が逆の場合にはこのようなスペクトル変化は見られなかった。この結果は、増感剤分子と半導体層のエネルギー順位を考慮した積層順により光電子移動方向を制御できることを示している。
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Research Products
(3 results)