2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17029027
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 健吉郎 静岡大学, 工学部, 教授 (20153603)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 康久 静岡大学, 工学部, 助教授 (00159138)
|
Keywords | 光触媒 / ナノリソグラフ / 原子間力顕微鏡 / 自己組織化膜 / 非晶質酸化物薄膜 |
Research Abstract |
本研究は原子像を直接観察できる原子間力顕微鏡を用いて、局所的に電場を印加して光触媒反応を加速させ、有機薄膜にナノスケールのパターニングを形成させることを検討した。また、得られたナノパターンを、光触媒反応で高速かつ高精度で転写する手法についても検討した。 ルチル単結晶TiO2表面上に真空蒸着法で堆積させたステアリン酸LB類似膜のAFM観察から、単純なスキャン、あるいは電圧印加や紫外線照射だけでは全く表面形態は変化しないが、YTの文字の部分に正の電圧を印加しながら紫外線照射を行うと、劇的な変化が現れた。例えば、3回のスキャン(60秒)で一部ステアリン酸薄膜にパターンが形成した。更に5回のスキャン(100秒)を行うと、明確にYTのパターンが現れ、深さが薄膜の厚さと同じくなった。このパターンの線幅は30nmと極めて細く、ナノリソグラフとして使用できることが分かった。更にスキャンを15回繰り返すと、AFMのスキャナーのドリフトによりパターンの線幅が広くなった。ステアリン酸の光分解反応は、印加電圧、光照射強度の増加と共に加速された。従って、AFMリソグラフが通常パターン形成の速度が遅いという欠点は、印加電圧、光照射強度の増加により克服できる可能性がある。 次に、AFMで作成されたナノパターンを転写する光触媒薄膜の作成を検討した。数nm以下の表面粗さを持つ薄膜として、非晶質のTiO2,SnO2,In2O3,NiOを原子層堆積法(ALD)法ならびにスパッタリング法により作成した。ALDで作成した非晶質TiO2は残念ながら光触媒能を持たなかった。非晶質In2O3,NiOも高い光触媒能を示さず、非晶質SnO2が比較的良好な光触媒能を示した。更に光触媒能を高めるため、キャリア濃度の異なるSnO2薄膜を3層構造にし、フェルミー準位の違いによる内部電場の生成を試みた。その結果、3層構造SnO2は非晶質で表面荒さが1nm以下でありながら、結晶性アナターゼTiO2と同等の光触媒機能を示すことが明らかになった。 この3層構造SnO2薄膜をSiウエハー上に堆積させたOTS(オクチルテトラクロロシラン)自己組織化膜に接触させて、光触媒反応によるOTSの分解ならびに接触角の変化を測定した。30分ほど紫外線照射をすることにより、接触角が激減しSi表面のOTSが光触媒反応により分解することを確認した。更にパターン化したSnO2を用いて、OTSへのパターン転写を試みたが、明確なパターン転写を確認することは出来なかった。この原因として、Si-OTSとSnO2薄膜の接触がうまくいっていないことが推測された。
|