2005 Fiscal Year Annual Research Report
高空間分解能光化学反応その場観察装置による酸化チタンの触媒反応界面の動的観察
Project/Area Number |
17029030
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 信夫 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (40126876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 晃 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 講師 (50292280)
山崎 順 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助手 (40335071)
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Keywords | 電子顕微鏡 / その場観察 / 光触媒 / 薄膜 / 界面 / 酸化物半導体 |
Research Abstract |
当研究室では光化学反応をナノメータースケールの極微領域で動的に観察・測定できる装置系を開発している。これを用いて、本研究ではTiO_2ナノクラスターの結晶構造やドーパントそして酸素欠陥等の二次構造がマクロな光触媒活性に及ぼす影響を解明していくことを目的とした。 本17年度は、 (1)極低温3次元透過電子顕微鏡を用いて、光触媒反応中に酸化チタンと有機付着物との接触界面近傍のナノスケールの領域で生じる現象を、世界ではじめて立体的に視覚化した。その結果、格子酸素の消耗を原因とする酸化チタンの劣化現象をナノスケールで捉えることに成功した。また電子エネルギー損失分光法(EELS)によって、劣化の原因となる格子酸素の減少量を定量し、論文誌(JAP)に報告した。 (2)世界最高の空間分解能を有する球面収差補正透過電子顕微鏡を用いて、酸化チタン結晶中の酸素原子を捕捉し、その位置や局所的な歪み、酸素欠陥などの原子レベルでの観察を実現した。シミュレーションによって、酸素空孔を含んだ局所構造と電子回折図形との対応を検証した。 その後、ナノメートルサイズの酸化チタンを光触媒として利用する際の触媒活性とその限界を酸素欠陥の観点から解明した。さらに、クラスターのサイズと吸収波長のシフトの関係、エリプソメトリー分光法で測定した膜のバンドギャップのデータから、薄膜中の結晶サイズや欠陥構造がTiO_2薄膜の紫外光吸収におよぼす変化について考察し、薄膜化によってブルーシフトが生じる原因について言及した。
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