2005 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニックバンドギャップを有するソフトマテリアルの構築とそのセンサーデバイスへ
Project/Area Number |
17029031
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹岡 敬和 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (20303084)
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Keywords | コロイド結晶 / ゲル / センサー |
Research Abstract |
光の波長オーダーで屈折率が周期的に変化する構造体はフォトニック結晶と呼ばれ、特定の波長の光の伝播が抑制される性質を示す。この、光が伝播できない波長領域は、フォトニックバンドギャップ(PBG)と呼ばれ、様々な利用が可能と考えられている。例えば、PBGを持つフォトニック結晶の中に、周期的な配列を崩した欠陥を意図的に作ると、その欠陥部分のみに光を集中して伝播させることができ、光の道波路を形成できる。この道波路は、光の波長以下の大きさにもかかわらず、道波路以外の部分にはフォトニックバンドギャップの効果で光が出ていくことが出来ないため、損失なく光を伝播させることができるという特長を示すようになる。フォトニック結晶は、このような効果を用いて、光を波長以下の半径で曲げたり、分岐させたりすることができ、集積密度の高い光集積回路やLSI中での光インターコネクションを可能とする技術として注目されている。本研究では、以上のようなPBGを有するソフトマテリアルの構築とそのセンサーデバイスへの利用を目指す予定である。ソフトマテリアルを用いることで、材料としての柔軟性、多様性の付与ならびにPBGを示す波長を変化できるセンサーデバイス材料となることが期待できると考えている。フォトニックバンドギャップを有するソフトマテリアルの研究を進めていく中で、以下の二つの興味深い物性を発見した。 1)コロイド結晶を鋳型に用いて、光異性化を示すアゾベンゼン(AZ)誘導体モノマーおよび感温性モノマーを導入した構造色を示すポーラスなゲルを調整したところ、温度を変化させた場合には、観測される構造色(反射スペクトルにて測定)が連続に変化するのに対して、光照射を行った場合では、構造色の変化が二つの状態間で変化することがわかった。 2)コロイド結晶を鋳型に用いて得たポーラスなポリスチレン中で、感温性のゲル微粒子を調製したところ、ポーラスなポリスチレンに閉じこめられたゲル微粒子の膨潤度変化に伴って、構造色は一定だが、その反射スペクトルの強度が変化することがわかった。 今後は、1)AZ含有ポーラスゲルの光照射に伴う構造色二状態変化の機構を解明し、新規な光スイッチ型フォトニックデバイスを構築すること、および2)コロイド結晶を鋳型にして得られたポーラスなポリスチレン中でゲル微粒子の膨潤度が変わる際に観測される反射スペクトル強度変化の機構の解明と本システムを用いた刺激応答性反射率変化型フォトニックデバイスを構築する予定である。
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