2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ多孔体一酸化チタン複合体によるチューナブル分子選択光触媒の開発
Project/Area Number |
17029043
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
犬丸 啓 広島大学, 大学院工学研究科, 助教授 (80270891)
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Keywords | 環境浄化 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
環境浄化において,分子選択的な除去機能の設計は重要な課題である。高濃度の共存物質により除去機能を飽和させることなく目的分子を極低濃度まで除去するには,高い分子選択性の実現が必要である.我々は,メソポーラスシリカ(細孔直径2.7nm)に,酸化チタン微粒子(P-25,直径約30nm)を直接組み込んだナノ複合体の合成に成功し,この複合体が水中ノニルフェノールに対して分子選択的かつ高い光触媒作用を発現することを見出た。本研究では,このナノ複合体の分子選択性の発現機構をより詳細に調べるとともに,細孔径の精密制御やナノ構造制御による分子選択性のチューニングおよび活性向上を図ることを目的とした。まず,分子選択性のチューニングを目的として,複合体の細孔径制御を行った.各触媒の分解初速度と分子選択性を示した.TiO_2とMPSを機械的に混合した触媒は分子選択性が全くない.複合体触媒では機械混合に比べてNonylphenolとHeptylphenolの分解速度が増大しPropylphenolとPhenolの速度が低下した.これは,触媒投下時の吸着挙動を考慮すると,NonylphenolとHeptylphenolはナノ空間に濃縮吸着されやすく,それにより複合体触媒ではTiO_2表面近傍のナノ空間にはNonylphenolやHeptylphenolが分子選択的に濃縮されるため分子選択的な分解が促進されると考えられる.複合体合成の原料として,表面をオクタデシル基で修飾したTiO_2(P-25)を用いた触媒では,分子選択性がさらに向上し,NonylphenolとHeptylphenolの分解速度が2.5倍以上に加速した.SEM,TEM観察では,TiO_2粒子が,完全に内部に埋め込まれていた.つまり,合成時に表面有機修飾した微粒子を用いることにより,より完全に複合化させることが可能となり,分子選択性が大幅に向上した.
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Research Products
(2 results)