Research Abstract |
超親水性の伝熱促進効果を明らかにするために,本年度は,6種類の表面試料による凝縮試験を行った. 二つの銅伝熱面に表面試料を取り付けて対向面配置し,ペルチエ素子で冷却した.対向面の間隔は,30mm(片面のみ冷却),2mmおよび1mmとした.空間の雰囲気は,温度を60℃に固定し,相対湿度を30%,60%,90%に調節した.試料表面温度を60〜0℃程度まで冷却し,熱流束を測定するとともに凝縮液の挙動を観察した.使用した表面試料は24mm×24mmの銅およびステンレス板であり,(1)銅(鏡面仕上げ),(2)銅(TiO2溶射),(3)銅(TiO2スパッタ),(4)ステンレス(鏡面処理),(5)ステンレス(サンドブラスト処理後TiO2溶射),(6)ステンレス(鏡面処理後TiO2溶射),の6種類である.(1)と(4)は通常面,他は超親水表面であり,実験中はUV照射を行った. 伝熱面間隔2mmにおいて,(1)の表面を-0.4℃まで冷却した時の凝縮液の様子を観察したところ,試料の下部で液滴がブリッジしているのが確認された.(4)でも同様のブリッジ現象が観察されたが,超親水表面ではブリッジ現象は生じなかった.(1),(2),(3)の試料に対する凝縮伝熱特性を調べたところ,片面のみの場合の伝熱特性ででは,湿度90%の時が最も熱流束が大きく,ついで60%,30%の順に低下した. 対向面で凝縮させた場合,片面のみに比べると全体的に伝熱性能が低下した.同じ湿度で試料間の比較をすると,(1)は(2)(3)に比べて相対的に伝熱性能が低下した.これは,(1)の面では凝縮液のブリッジ現象により伝熱性能が低下しているためであり,一方,超親水性表面((2),(3))はブリッジを抑制し,凝縮液を良好に排除することができる.したがって,フィンチューブ熱交換器のように対向面で凝縮をさせるような使用形態では,超親水性表面の方が優れた性能を発揮できるものと考えられる.
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