2005 Fiscal Year Annual Research Report
色素含有高分子・金属複合超薄膜への閉込め光と光電子移動反応制御による分子情報処理
Project/Area Number |
17029047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長村 利彦 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (90117200)
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Keywords | 分子フォトニクス / 超高速光情報処理デバイス / 可視〜光通信波長域 / 新規複合型導波モード薄膜 / フタロシアニン誘導体 |
Research Abstract |
光と分子の相互作用を適当な構造のデバイスと組み合わせることにより、高度な情報処理を行うための分子フォトニクスの研究を進めている。本研究では広い波長域で光誘起電子移動により大きな吸収・屈折率・蛍光変化を示す材料の開発、それらやDNAを含む有機・金属複合超薄膜あるいは低屈折率高分子と光応答高分子複合膜への閉込め光と分子との相互作用による超高速光情報処理デバイスや高性能センサの実現をめざした。 光誘起電子移動反応と逆反応で可視〜光通信波長域に大きなかつ超高速の吸収変化を示す高分子などを開発してきた。本年度は主にそのデバイス応用について検討した。以前に提案した有機・金属複合薄膜型導波モードデバイスの光耐久性をあげ、変調感度をあげるために、低屈折率高分子と光応答高分子複合膜を用いて、光を閉込め、別の光でそれを制御する新しいデバイスを提案した。このデバイスでは、全反射角度よりもかなり大きな入射角で光応答薄膜の消衰係数kがゼロでない時にのみ非常にシャープな導波モードが形成され、反射率はk値が増加すると最初は低下し、ある値(K_c)でほとんどゼロになりそれ以上では再び増加した。そのようなk依存性は近赤外に吸収をしめすフタロシアニン誘導体を高分子膜に種々の濃度で分散させて確認した。このデバイスは低屈折率層を有する導波モードの光による条件変化に依存するので、単純透過型に比べて非常に感度が高い。本研究で開発した光誘起電子移動と逆反応により光通信波長で超高速応答を示す高分子を用いたところ、異なる3つの入射角で励起前には見られなかった反射率減少のピークが励起直後に異なる波長に見られ、同じ膜の単純透過法による過渡吸収スペクトルに比べて大きな変化を示すことを確認した。 これらの結果は光機能界面に基づく導波モードデバイスによる超高速光変調・光スイッチとして有望であることを示している。
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