2005 Fiscal Year Annual Research Report
光機能界面における環境負荷物質のビタミンB12駆動型超効率分解機構
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17029050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久枝 良雄 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (70150498)
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Keywords | ビタミンB12 / 二酸化チタン / 紫外線照射 / 有機ハロゲン化物 / ハイブリッド触媒 / 官能基転位反応 / 環境適合型触媒 / 励起電子 |
Research Abstract |
1)二酸化チタンのナノ粒子にビタミンB12誘導体を固定化したB12-TiO_2ハイブリッド触媒の創製に成功した。このB12-TiO_2ハイブリッド触媒について、MSスペクトル、IRおよび電子スペクトルならびに電子顕微鏡観察により表面分析し、ビタミンB12誘導体が10^<-11>mol/cm^2オーダーの密度で固定化されていることを明らかにした。 2)上記で作成したB12-TiO_2ハイブリッド触媒をエタノール中で紫外線照射すると、ビタミンB12の中心コバルトがCo(I)に還元されることを見出した。これは、二酸化チタンに紫外線照射した際に生成した正孔と励起電子のうち、励起電子が還元作用を示したものと推察される。一方、正孔は溶媒のエタノールを酸化したものと推察される。この現象は電子スペクトルおよびESRスペクトルにより観測された。 3)エタノール中にB12-TiO_2ハイブリッド触媒を懸濁し、有機塩素化合物の1つであるDDTを添加して紫外線照射した。DDTとビタミンB12のCo(I)が反応し、脱塩素化反応が起こり、DDTの分解が観測された。本触媒は、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応に有効であることが明らかになった。 4)B12-TiO_2ハイブリッド触媒は、有機ハロゲン化合物の分解反応のみならず、有機合成の触媒としても有効である。基質として、β位にエステル基とフェニル基を有する臭化物を用いて反応したところ、単純還元体とフェニル基転位体が生成した。生成物比は溶媒の種類により異なり、水素原子供与能の小さなベンゾニトリル中ではフェニル基転位体が主生成物として得られた。 5)上記のように、B12-TiO_2ハイブリッド触媒は紫外線照射により、有機ハロゲン化物の分解および官能基の1,2-転位反応の触媒として働き、環境適合型触媒として有望である。
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Research Products
(6 results)