2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子界面修飾を利用した擬固体色素増感太陽電池の高効率化
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17029051
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
早瀬 修二 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (80336099)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 固体化 / ゲル電解質 / ハイブリッド / 陽極酸化アルミナ / イオン液体 / 導電性高分子 / Grotthuss |
Research Abstract |
色素増感太陽電池(DSC)の固体化は重要な研究テーマである。これまで比較的性能の高いゲルはイオン拡散を阻害するゲル化剤が少ないソフトゲルで達成されてきた。我々は自己組織化イミダゾリウム基で被覆したナノチタニア粒子を用いてヨウ素イオン拡散パスを構築し、ゲル化剤が多いハードゲルでも高い太陽電池性能を維持できることを実証した。これらはランダムなイオン拡散パスであったが、今年度は直線状の電荷拡散パスを構築することにより、より高い固体化率と高い太陽電池性能を実現することを目的とした。 1)直線状ヨウ素拡散パスの構築(二種類のヨウ素濃度を有するハイブリッド電荷輸送層) 陽極酸化ポーラスアルミナ膜内に存在する直線状ナノボア内壁界面を長鎖アルキル基置換イミダゾリウム基で完全被覆した。それに沿ってヨウ素が濃縮されたイオンパスを構築し、Grotthussメカニズムによる高い電荷移動を実現した。これにより、 (1)液体電解質よりも固体化したセルの効率が向上する。(イオン液体電解質の場合) (2)導電性を必要とする電解質部分ではヨウ素が高度に濃縮され、逆にチタニアナノボア中ではヨウ素濃度が低くなり光の透過性が向上する。このようなハイブリッド電荷移動層を固体高性能化セルに適した構造として提案した。 2)イオン拡散と電子拡散のハイブリッド電荷拡散層の構築: 陽極酸化ポーラスアルミナ内のナノボア内壁界面を導電性に優れたポリマ(PEDOT/PSS)で被覆した。電子拡散可能な高導電性電荷移動層と、Liquid Junctionが必要なチタニアナノボア中に作製されたイオン液体電解液層のハイブリッドセルを作製した。イオン拡散のみのセルよりもハイブリッド構成のセルを用いると高い太陽電池性能が認められた。導電性ポリマはPEDOT-PSS>Polypyrrole>polyanilineの順で性能が低下した。この性能の差は電子伝導ではなく、導電性ポリマとヨウ素の間の電荷移動抵抗の順として説明できた。イオン伝導と電子伝導の両方を有するハイブリッド電荷輸送膜が固体高性能化セルに適した構造であることが実証できた。
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