2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17029058
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 一彦 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (10109879)
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Keywords | 二酸化チタン / 光触媒 / 窒素ドープ / 光酸化反応 / 光異性化反応 / 光環化付加反応 / 過塩素酸マグネシウム / 価電子体 |
Research Abstract |
二酸化チタンを光触媒とする芳香族化合物の高効率・高選択的な光酸化反応の開発と、反応活性種および反応機構の解明を目的として研究を行ない、以下の成果を得た。 (1)尿素と二酸化チタンまたは酸化亜鉛の混合物からメカノケミカル法、焼成処理により調製した窒素ドープ二酸化チタンおよび窒素ドープ酸化亜鉛の拡散反射スペクトルを測定したところ、それぞれ400nm-500nmに吸収帯が現れることが分かった。また、窒素ドープ二酸化チタンを過塩素酸マグネシウムと混合すると、その吸収帯の吸光度が増大した。芳香環にメトキシ基を導入した1,2-ジアリールシクロプロパンのシス-トランス光異性化反応および光酸素酸化反応をこれらの半導体光触媒を用いて過塩素酸マグネシウム共存下検討したところ、窒素ドープ二酸化チタンを用いた場合にシス-トランス光異性化反応の効率が増大し、窒素ドープ酸化亜鉛では効率が減少すること、および光酸化反応がそれ以上に抑制されるため窒素ドープ光触媒は可視光照射による選択的なシス-トランス光異性化に適していることが分かった。これらの結果は価電子体の電位の上昇に起因するものと推定した。 (2)芳香族カルボン酸の光環化付加反応における二酸化チタンの効果について検討した。9位にカルボキシ基、10位にトランス体のオキサアルケニル基をもつフェナントレン誘導体(trans-1)のベンゼン溶液に光照射したところ、二酸化チタンが存在しない場合には分子内光環化付加体(2)とシス体(cis-1)が得られたのに対し、二酸化チタンを加えて反応を行なうと、2の収率が減少し、cis-1の収率が増加した。また、trans-1は固体でも溶液中でも蛍光を示すが、二酸化チタンに吸着したtrans-1は蛍光をほとんど出さないことが分かった。
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