2005 Fiscal Year Annual Research Report
低温成膜半導体層を用いるプラスチック色素増感光電池の高効率化
Project/Area Number |
17029064
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
宮坂 力 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 教授 (00350687)
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Keywords | 色素増感 / 太陽電池 / 半導体膜 / 光電気化学 / 酸化チタン / プラスチック / エネルギー変換 / モジュール |
Research Abstract |
プラスチックフィルム色素増感太陽電池の作製に必要な低温成膜半導体層をドクターブレード法によって導電性フィルム電極(ITO-PETならびにIZO-PENフィルム)へ被覆する技術を、(1)高効率化、(2)膜の密着強度と耐久性、の2つの点で向上させることを目的とする研究開発を実施した。低温成膜用の酸化チタンペーストは、ナノサイズTiO_2粒子、光散乱用TiO_2粒子、粒子結合用ゾルの3種を分岐状アルコールと水の混合溶媒に分散し、これに新たに結着剤として微少量の樹脂バインダーを添加して調製した。150℃で塗設したTiO_2膜はこれまでの強度から大きく改善され鉛筆引っ掻き硬度としてH以上の高さに達した。Ru錯体色素N719で増感したITO-PET電極のエネルギー変換効率は光散乱粒子の平均粒径を最適の60nmに調整することによって、昨年度より0.5%改善してプラスチック電極としては最大の6.2%に達した。この方法に基づいて、セルに集電グリッドを配置して平面に直列に組み合わせた大型のフィルム太陽電池モジュール(10セル連結型、30×30cm、厚さ400Fm、重さ60g)を試作した。フィルム型色素増感電池としては最大のサイズである。このモジュールによって太陽光1sunの下で7.2V、0.3A、最大電力として0.6W以上を得ることを検証した。モジュールは世界博覧会「愛知万博」のバイオラング(緑化壁)に展示して1ヶ月間、夏の気温と風雨に曝す耐久性評価を行った結果、屋外においても、十分な性能を保つことが実証された。また色素増感太陽電池の特長である「拡散光の利用効率の高さ」も薄膜シリコン太陽電池との比較によって検証した。このモジュールで数時間発電を行なった電力でDC6Vの小型カラー液晶TVを駆動する実験デモにも成功した。 現在のモジュール性能は効率2.5%のレベルであるが、今後は集電方法と成膜材料を改善することによって光電流効率を高め、さらなる高効率化を図る。
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