2005 Fiscal Year Annual Research Report
輻射圧優勢なブラックホール降着円盤の3次元磁気流体数値実験
Project/Area Number |
17030003
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松元 亮治 千葉大学, 理学部, 教授 (00209660)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮路 茂樹 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10157646)
中村 賢仁 松江工業高等専門学校, 助教授 (00342543)
小出 眞路 富山大学, 工学部, 助教授 (20234677)
|
Keywords | 降着円盤 / ブラックホール / 磁気流体力学 / 数値実験 / X線天文学 / 磁気乱流 / 宇宙ジェット / 状態遷移 |
Research Abstract |
ブラックホール候補天体の状態遷移を大局的な3次元磁気流体(MHD)シミュレーション及び準解析的手法によって調べた。熱制動放射による輻射冷却を含めたシミュレーションの結果、光学的に薄い移流優勢円盤の降着率が増大して円盤密度が増えると冷却率が増大し、円盤は収縮して磁気圧によって支えられた円盤に遷移することが明らかになった。また、降着率が臨界値を超える場合に磁気圧優勢な定常解が存在することを見出した(町田、中村、松元2006)。このモデルを2温度円盤に拡張し、シンクロトロン放射、コンプトン散乱を含めた場合にも磁気圧優勢かつ光学的に薄い定常解が存在すること、この場合の輻射スペクトルは10KeV-100KeV領域でパワーロー型になることが明らかになった。以上により、ブラックホール候補天体のアウトバースト時に、エディントン光度の10%以上の光度に至るまでハードなX線スペクトルが観測される理由を説明することができた(Oda et al.2006投稿準備中)。この結果は、マイクロクウェーサーGRS1915+105で観測されるハードなX線スペクトルを示す状態とソフトなX線スペクトルを示す状態の遷移が磁気圧優勢で光学的に薄い円盤と輻射圧優勢で光学的に厚い円盤間の遷移であることを示唆する。この遷移をシミュレートするためのコード整備を進めた。また、熱伝導を考慮するため、BiCG法に基づく熱伝導モジュールを実装した。 状態遷移中に観測される準周期振動(QPO)に関して、ブラックホール近傍の円盤がトーラス状になる場合、磁気エネルギーの蓄積と解放が準周期的に発生し、鋸歯状の低周波振動が生じること、この振動が高周波の円盤振動を励起することがわかった。 相対論的MHDコードのベクトル・並列化率を高め、円盤と中心天体を結ぶ磁気ループが円盤の回転によって捻られ、膨張して磁気タワーを形成する過程をシミュレートした。
|