2005 Fiscal Year Annual Research Report
極超新星のジェット状爆発モデルとブラックホール形成に伴う爆発的元素合成の研究
Project/Area Number |
17030005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 憲一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90110676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 知治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20280935)
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Keywords | 星の進化 / 星の化学組成 / 超新星 / 極超新星 / 元素合成 / ブラックホール / ガンマ線バースト / 銀河の化学進化 |
Research Abstract |
ブラックホールの形成に深く関係した興味深い天体が、最近次々と発見されてきている。極超新星(ハイパーノバ)である。その巨大な爆発エネルギーは、回転ブラックホールと降着円盤から引き出されたと考えられ、極超新星は大質量星の重力崩壊でブラックホールが形成されたことを示す現象と言える。今年度の研究では、極超新星のジェット状爆発モデルと新たな観測データから、下記のような結果を得た。 1.極超新星の光学的性質の解析とジェット状の形態の導出:最近「すばる」によって酸素輝線のダブルピークが観測された極超新星SN2003jdの解析とモデル化を重点的に行なった。爆発モデルの計算により、ダブルピークがジェット状爆発を横から観測した結果であることを示した。光度曲線やスペクトルをよく再現するモデルパラメータを求め、親星の質量M、爆発エネルギーE、M=35Msun,E=5e52ergという結果を得た。 2.上記ジェット状爆発モデルにおける詳細な元素合成を計算し、巨大爆発によって放出される元素組成の特徴を明らかにした。特に56Niの質量をM(56Ni)=0.4Msunと求めた。 3.ジェット状爆発の場合、Zn,Co,Tiが増加し、宇宙初期に形成されたと思われる金属欠乏星の元素組成の特徴を説明し得ることを示した。 4.極超新星とガンマ線バーストとの関係について、ガンマ線バーストとしては観測されない極超新星は、横から観測した場合に対応することを示唆した。
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