2006 Fiscal Year Annual Research Report
低光度活動銀河核内のブラックホールと降着円盤についての研究
Project/Area Number |
17030007
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
粟木 久光 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (30252414)
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Keywords | 活動銀河核 / X線 / 時間変動 / スペクトル |
Research Abstract |
【低光度活動銀河核】 XMM-Newton衛星の公開データから、Chandra衛星のデータ等を使い、低光度活動銀河核15個を抜き出し、時間変動解析、スペクトル解析を行なった。これらの天体のX線光度は3x10^<39>-1.5x10^<42>erg/sの範囲にあり、通常の活動銀河核(AGN)より低い。この中で時間変動を有意に検出できたのは、4天体のみであった。この4天体において、時間変動から推定したブラックホール(BH)質量は、他波長で推定した値とほぼ同じであった。また、時間変動の上限値のみ得られた他の天体もNGC3998を除き、BH質量は矛盾していなかった。時間変動ならびに他波長から推定されたBH質量は、NGC4395(2.6x10^4Mo)以外いずれも10^6Mo以上であり、大質量BHを持っているという結果であった。大質量BHを持つ天体のエディントン光度比は10^<-6>から10^<-3>の範囲にあり、通常の活動銀河核(10^<-2>-1)よりも低い。この結果を2006年度日本天文学会秋季年会で報告した。 エディントン光度比が低い場合、移流優勢降着流(ADAF)になっており、通常のAGNの標準降着円盤と異なると予想されている。エディントン光度比の違いによるX線帯の性質の違いを調査したが、違いを見つけることはできなかった。 【他の活動銀河核とスターバースト銀河の研究】 「すざく」衛星が観測した活動銀河核MCG-5-23-16の解析を行ない、広がった鉄輝線を検出した。この鉄輝線の幅から降着円盤がBHの近くまで達していることがわかった(論文2)。また、「すざく」衛星によるスターバースト銀河M82の解析結果、ならびに、Chandra衛星によるNGC1808の解析結果も報告した。両銀河とも超光度X線天体を有しており、BH進化を研究する上で重要な天体である。(論文1、3)
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