2005 Fiscal Year Annual Research Report
全X線サーベイ統合解析によるブラックホール形成史の解明
Project/Area Number |
17030012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 佳宏 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10290876)
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Keywords | 活動銀河核 / X線サーベイ / ブラックホール / 光度関数 |
Research Abstract |
活動銀河核の光度関数の宇宙論的進化を過去最高の統計精度で求めるべく、以下の要領で研究を進めた。まず、HEAO-1衛星によって得られた明るい活動銀河の完全サンプルに対して、「あすか」およびXMM-Newton衛星で得られたスペクトル解析の結果をまとめ、近傍宇宙における光度関数を定量化した。その結果、X線で吸収された活動銀河(2型活動銀河)と吸収されていない活動銀河(1型活動銀河)の光度関数の高光度側での傾きが、有意に異なることを示した。これは、活動銀河の「修正統一モデル」の描像を強く裏付けるものであり、これらの結果はアストロノミカル・ジャーナル誌に掲載決定された。さらに、光度関数をより広い赤方偏移・光度範囲かつより高い統計精度で制限するため、「最尤法」に基づいた、硬X線サーベイおよび軟X線サーベイの同時解析の手法を開発した。これは、それぞれの天体の内在的なX線光度を(スペクトルや吸収量を補正して)変換する従来の解析方法と異なり、そのカウントレートそのものの分布を赤方偏移・サーベイ(検出器)ごとに調べ、それを最もよく再現するような光度関数と吸収量分布を求めるというもので、異なる観測バンドのデータを組み合わせることを容易にすると同時に、完璧に観測バイアスを排除した解析となる。この解析で最も重要となる硬X線で選択された活動銀河のサンプルとして、「あすか」、HEAO1、チャンドラディープサーイのサンプルに加え、マックスプランク研究所での情報収集に基づき、XMM-Newton衛星によるロックマンホール領域のディープサーベイのサンプルを追加することに成功した。
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Research Products
(4 results)