Research Abstract |
本研究は,特定領域研究「火山爆発のダイナミックス」A04班において開発されている火山探査移動観測ステーションMOVE(火口移動探査ロボット)に関して,ロボット工学の立場から,1.遠隔制御技術の開発ならびに,2.地形の移動計測技術の確立を目指している.これらを実現することで,観測対象である火山火口周辺の詳細な3次元地形図を獲得し,火山爆発のダイナミクスの理解に寄与することを目指している. 上述の目標を実現するため,平成17年度には,ロボットの遠隔操作ならびに地形マッピングのためのセンサシステムを開発した.このセンサは,全方位カメラ,レーザレンジセンサ,回転テーブルおよび,吊り下げ機構から構成される.全方位カメラは,ロボットが走行中,周囲の画像情報を逐次オペレータに送信することが可能である.また,ロボットが停止中,レーザレンジセンサを搭載した回転テーブルを回転し,360度の距離情報を獲得することで,三次元メッシュ状の地形データを獲得することができる.さらに,不整地において,ロボットが傾いたときにも,センサ自身が常に水平を保つ機能を実現するため,このセンサをパッシブなジョイントで吊り下げる. 製作したセンサの評価を行うため,平成17年11月に北海道有珠山において行われたダイナマイトによる模擬火山爆発実験に参加し,爆発後のクレーターの地形のセンシング実験を行った.センサは,現在開発中の火山探査移動観測ステーションMOVEの先端に搭載した.この実験の結果,製作したセンサは,目標となるクレーターならびに,半径30メートル内の三次元地形データを獲得することができた.今後は,このセンサを利用した遠隔ナビゲーションの実現ならびに,複数地点で獲得した環境情報の統合技術の確立を目指す.
|