2005 Fiscal Year Annual Research Report
溶岩流の流動モデルを火道側に発展させた非爆発的噴火の噴火・流動結合モデルの開発
Project/Area Number |
17031005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 英昭 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00312992)
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Keywords | 溶岩流 / 溶岩チューブ / パホイホイ / インフレーション / 地中レーダー |
Research Abstract |
複数の冷却ユニットを持つパホイホイ溶岩の挙動を、理論的にうまく説明したモデルはない。そこでマグマを模擬した流体(パラフィン)を用いて室内実験を行うことで、新たな物理モデルの構築を目指した。一つの冷却ユニットを持つ比較的小さな構造をtoeとし、それが重なり合ってできる構造をlobeと定義した上で、次のようなtoeとlobeの形成モデルを構築した:(1)toeは冷却の殻が成長するまで粘性流体として流動する。(2)溶岩の流入が続いていても、殻が成長すると先頭が停止する。(3)行き場を無くした溶岩は膨張(インフレーション)し、内部に過剰圧を蓄える。(4)これが殻の強度を超えると、新しい流れユニットを作る。本研究の平成17年度の実績として、この物理モデルが実験結果だけでなく、ハワイの溶岩流のtoeやlobeのサイズ分布をうまく説明できる事を示し、パホイホイ溶岩流がなぜ全体として一つの流体のように振舞うかを初めて理論的に明らかにした(なお、この内容をまとめた論文はJournal of Volcanology and Geothrmal Researchで現在改訂中)。ところで、この理論モデルによって、溶岩チューブが重要な役割を果たすことが示唆された。従来溶岩チューブは発見が難しく、地球物理的にその構造が議論される事はなかったが、地中レーダーを用いてその構造を精密にマッピングできれば、上記の理論を実際の現象から検証できると考えた。そこで富士山の青木が原溶岩流を対象として、地中レーダーを用いた野外実験を行った。主に、(1)アンテナ上部をシールドし、(2)周波数を変調する、(3)反射波の極性を考慮する、という新たな改良を行う事で、精度良く溶岩チューブを検出できる事を明らかにした。この内容をまとめた論文は、Geophysical Research Lettersに掲載され、Journal highlightとして採択された。
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Research Products
(3 results)