2005 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃波・岩石破砕を含む噴火シミュレータのための高精度数値計算スキームの開発
Project/Area Number |
17031008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 尊之 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (00184036)
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Keywords | 噴火シミュレータ / 局所補間微分オペレータ法 / AMR法 / 保存系IDO法 / 爆発シミュレーション / 長時間積分 / 非球形個別要素法 / 岩石モデル |
Research Abstract |
「噴火シミュレータ」を構築するための基礎となる以下の数値計算法の開発を行った。火山噴火は非常に狭い領域で大きなエネルギーを短時間に放出し、その影響が広範囲に及ぶ。数値計算手法に求められることとして、(1)噴火口付近の領域に十分細かい計算格子を配置する、(2)密度・圧力の急激な変化に対して安定に計算できるスキームである、(3)長時間積分が可能である、ことが必要である。これらの全てを満足する数値計算手法として、局所補間微分オペレータ(IDO)法をベースとして新たな改良を行った。 (1)噴火の最中は火口付近の空間解像度を十分高くし、噴火終了後は噴煙を精度よく捕らえるために上空の空間解像度をAdaptiveに高くするAMR(Adaptive Mesh Refinement)法にIDO法を適用した。1:2の非等間隔格子にも関わらず、空間微係数を従属変数として計算するために、空間3次精度の計算が可能であることが明らかになった。このAMR法により爆発で生じる衝撃波の捕獲やレーリーテーラー不安定性に適用し、有効性を確認した。 (2)IDO法は1000倍を超える密度や圧力が急激な変化する現象を計算するためには、安定性のためにスタッガード格子配置にしなければならなかった。しかし、空間精度が2次精度に低下してしまうため、コロケート格子において安定化カップリング法を開発し、4次精度を保ちつつ安定に計算することが可能になった。 (3)これまでのIDO法は十分良い精度で計算できたが非保存形であり、長時間積分には不安が残っていた。従来の物理量と空間微係数を従属変数とする方法から物理量と格子区間積分値を従属変数とする方法の保存形IDO法を開発した。物理量に対しては従来のIDO法と同様に計算し、積分値に対してはfluxベースで完全に保存させ、短い時間の計算精度は従来と全く同じであり、長時間積分では大きな利点があることを確認することができた。 (4)岩石のモデル化として、複雑な形状を反映するために非球形モデルの個別要素法を開発した。球形粒子を複雑形状の岩石の表面に配置することで、従来の手法の拡張として非球形の岩石が斜面を転がり落ちる過程を再現することができ、落下の併進運動エネルギーが回転エネルギーに変化する割合を求めることができた。
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