2005 Fiscal Year Annual Research Report
諏訪之瀬島火山における爆発地震の深さ決定精度の向上に関する観測研究
Project/Area Number |
17031013
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
八木原 寛 鹿児島大学, 理学部, 助手 (60295235)
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Keywords | 火山爆発 / 爆発地震 / P波速度 / 速度構造 / 諏訪之瀬島火山 / 自然現象観測 |
Research Abstract |
本研究は,観測データの蓄積に応じて火山体の地震波伝播速度モデルを修正し,爆発地震が発生する深さを,精度を向上させて求めることを目的とする.これに資するために,平成17年度は連続広帯域地震観測を継続するとともに,本特定領域研究の計画研究と共同して人工地震探査を実施した.連続地震観測では諏訪之瀬島火山の山腹に4観測点(現地収録方式)を設置しており,各観測点とも概ね1〜3ヶ月おきにデータ回収と観測機器保守を実施した.また本特定領域研究の計画研究と共同して,活動火口近傍の4観測点における連続広帯域地震観測も継続した.また人工地震探査では,島内に約70点の地震観測点を臨時に設置し,9ヶ所で起震された人工地震を観測した. これらの結果,火山性地震の震源決定精度向上に寄与するP波速度構造が得られ,(1)諏訪之瀬島火山では,約2.0km/sの表層から3.5km/sの速度までは,等速度線は地表地形に沿う起伏をもつ,(2)3.5km/sを超えると(1)の特徴はなくなり,深さとともに速度が増加し,海水面下0.5kmで約5km/sの速度に到達する,(3)諏訪之瀬島火山は,全体的には(1)と(2)で特徴づけられる中で,活動火口直下の海水面下0.5kmには溶融体を示唆するような顕著な低速度体が存在する,ことが分かった. このP波速度構造を用いて,連続観測点のみのデータで山頂付近の人工地震の震源を再決定した結果,水平方向,垂直方向ともに約100mの誤差で震源が決定された.現段階では,この程度の深さ精度で浅部の火山性地震の震源を決定できる可能性が示された.ただし,爆発地震の震源決定を試行したところ,深さが地表面よりも浅く決定される場合があることが分かった.この原因としては,活動火口付近に地震観測点が無いために,火口付近の地表下極浅部の地震波伝播速度が推定できていないことが考えられる.
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