Research Abstract |
平成17年度の研究計画は,高精細な4次元画像を短時間で処理することを目標として,高性能計算による時間短縮を試みることである.高性能計算を実現する計算環境としては,複数のPCを高速なネットワークで相互接続したPCクラスタ,および近年CPUを超える性能を達成し性能向上の成長が著しいGPUを用いた.特に,現在は計算量が多すぎて萌芽的な段階にある医用画像処理として,1)2次元/3次元画像位置合わせ,2)人工股関節全置換術のための可動域シミュレーション,および3)4次元画像の可視化に着目し,それぞれの実用化に直結する高速化のための有力な手段を提供した. 1)に対しては術中利用を目的として,PCクラスタおよびGPUによる位置合わせの高速化手法を提案した.提案手法はボクセル値に基づく位置合わせ手法を基にしている.前者による手法では,データ並列処理及び投機的並列処理により位置合わせの速度及び頑健性を向上し,遠隔並列処理が実用に耐えることを示した.後者による手法では,位置合わせの問題をGPUが得意とする計算方法で解くことにより,さらなる高速化が可能であることを示した.特に,手術室にPCを1台持ち込むだけで5秒程度の応答時間を実現できる点は,計算機支援による手術の実現に向けてインパクトが大きい. 2)に対しては,計算量を削減する適応格子細分化の技術を逐次アルゴリズムに対して適用し,さらに並列処理を組み合わせることにより,従来は並列処理を行っても141秒もの時間を要していて術中支援が難しかった詳細なシミュレーションを20秒という実用可能な短時間で実現した. 3)に対しては,主記憶不足に陥るような時系列3次元画像に対し,高速な可視化を実現するためのデータ圧縮手法を開発した.提案手法は,CPUのみならずGPUにおいてもデータを圧縮することにより,従来の圧縮手法よりも30%高速な可視化を実現できた.
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