Research Abstract |
これまで進めてきた肺癌の診断アルゴリズムの高精度化を目差したが,高精度化に伴う擬陽性の多発が問題となった,原因は,肺癌結節の抽出時に血管を結節と誤認する問題と,診断時点で検出された結節候補が癌か否かが,熟練した医師でも判定困難であると言う点にあり,以下の対策を講じた. 1.血管の誤認識の減少 1mmスライス画像の獲得により,密度の高い画像が得られるが,血管の正確な追跡が困難となったため,前後2枚の画像を加えた5枚の加算画像を合成することにより,スライス平面に沿って走行する血管の連続性を把握することが出来た,しかし,体軸に沿って走行する血管はスライス上では結節と誤認識される危険があるので,体軸方向に沿った画像を合成することにより,誤検出を大幅に減少させることが出来た. 2.時系列CT画像の比較 径の小さな結節が癌であるか否かは,2,3ヶ月後に再度CT画像を撮り,それらを比較読影することによって径の増加が認められれば癌である可能性が高い.しかし,異なる時期に撮られた2つのCT画像は,患者自身の体型変化,計測時の姿勢や息止めの差異などで,正確な対応付けが困難である.医師の場合は,こうした差異は経験により取り除くことが可能だが,計算機プログラムにとってこの解決は容易ではない.横隔膜の位置により肺下部の形状が大きな変形を受けることから,いわゆる弾性(elastic)マッチングは困難である.そこで,手元のサンプルCT画像を手作業で調べ,肺臓の変形度を調べた結果を用いて,照合すべき領域を求め,その領域内の結節候補同士のマッチング度を計算させた. その結果,擬陽性が少ない場合は,対応する領域内の結節候補が少ないので,対応する結節を同定し,それらの径を比較することが出来た.しかし,対応領域内部に,擬陽性も含めて結節候補が多い場合,含まれる結節候補数が一致しないなど,必ずしも満足する結果は得られなかった.
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