2005 Fiscal Year Annual Research Report
最高エネルギー宇宙線観測における地表検出器特性による系統誤差の研究
Project/Area Number |
17033003
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
榊 直人 青山学院大学, 理工学部, 助手 (90342790)
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Keywords | 宇宙線 / 超高エネルギー天体物理学 / 空気シャワー |
Research Abstract |
日本のAGASA、アメリカのHiResなどにより10^<20>eVを越える宇宙線が観測されているがまだその起源は解明されていない。近年発表されたAGASAとHiResの10^<20>eVを越える宇宙線のフラックスについて多少の差異があり、議論になっている。 現在10^<20>eVを越える宇宙線の起源を解明するためにアメリカユタ州でテレスコープアレイ実験(TA)が、アルゼンチンでAuger projectが進んでいる。TAではAGASAと同様、空気シャワー中の電磁成分に感度の高いシンチレーター検出器を主な検出器としているのに対し、Auger projectではミューオン成分に感度の高い水チェレンコフ検出器を主として用いている。AGASAのサイトで開発したAuger projectプロトタイプ検出器の実験データとシミュレーションデータを用いて両検出器の違いによる、超高エネルギー宇宙線のエネルギー決定の系統誤差について評価することを目的としている。 本年度はシャワーシミュレーションプログラムAIRESを用いてイベントを生成し、GEANTを用いたAGASAの検出器シミュレーション、Auger prototype検出器のシミュレーションを作成して組み合わせ、観測粒子数の計算を行った。Auger projectではシャワー軸から1kmの場所での粒子数密度をエネルギー決定のパラメーターとして用いており、10^<20>eVの鉄と陽子で10〜20%の違いが生じた。一方、AGASAは600mでの粒子数密度を用いており、鉄と陽子で8〜12%の差となった。特に水チェレンコフ検出器において、エネルギーを精度よく求めるためには宇宙線粒子種を押さえることが重要である。次年度に、生成したシャワーシミュレーションデータと実験データとの比較を行い、地表検出器の種類によるエネルギー決定誤差について議論する。
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