2006 Fiscal Year Annual Research Report
2次元金属ナノ超配列構造による分子集合体の光認識・動的制御
Project/Area Number |
17034002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村越 敬 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (40241301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木口 学 北海道大学, 大学院理学研究院, 講師 (70313020)
並河 英紀 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (30372262)
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Keywords | ナノギャップ / 表面増強ラマン散乱 / 単一分子検出 / 脂質二分子膜 / 自発展開 / 単一分子追跡 / 分子分別 / 光物性 |
Research Abstract |
金属微小構造体より構築される極微小空間での高感度分子検出および分子分別システムの構築を行なった。自己組織的に配列させたポリスチレンビーズをテンプレートとしてガラス基板上へ金属を傾斜蒸着することで、ガラス基板上へ金属微小構造体を規則的に配列させることが可能となる。蒸着時の角度・速度・蒸着量の厳密な制御に基づいて、二つの金属微小構造体を近接して配置させたダイマー構造を構築した。その際のギャップ間隔はナノメートルオーダーにて制御可能であった。このギャップ近傍へ2,2'-及び4,4'-bipyridine分子を吸着させた後、顕微ラマン分光装置にてラマン散乱スペクトルの経時観察を行なったところ、両者のスペクトルが瞬間的に入れ替わる挙動が観察された。統計学的解析の結果、本現象は2個以上複数の分子が同時に入れ替わったとは考えられず、単一分子からのシグナルを検知していたものと結論付けられた。これまで、固体基板上に設計された金属微小構造体から単一分子由来のシグナルを観察した直接的な証拠を示した研究例はなく、本研究はその先駆的な成果といえる。 一方、構造体ギャップのスケールを幅数十〜数百ナノメートル程度にまで拡張した場合、この構造体基板上にて脂質二分子膜の自発展開現象を発現させることで、自発展開膜内に添加した種々の分子をその分子特性に依存して分離分別することが可能となった。全反射蛍光顕微鏡を用いた単一分子追跡による検討の結果、特定の分子はギヤップでの分子拡散性が顕著に低下していることが明らかとなった。これはギャップにおける化学ポテンシャル障壁の形成が分子拡散性に影響を及ぼした結果であると考えられる。 これらの知見により、金属微小構造体により形成される数〜数百ナノメートル程度の微小空間においては、高感度分子検出あるいは分子分別システムなどの機能性が発現することが示された。
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Research Products
(8 results)