2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17034006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
GRIDNEV ILYA 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60374906)
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Keywords | 固液界面 / 吸着 / 錯体 / 有機金属化学 / NMR / EXSY / 単層 / 錫 |
Research Abstract |
【はじめに】本研究の目的は初めて動的有機金属錯体のダイナミクスを分子機械のエンジンとして応用する可能性を検討することである。配座回転と異なり有機金属錯体のダイナミクスは電子的にコントロールされるので、有機金属錯体内の分子内移動は選択的に行われる。よって金属の置換基の一つを長鎖アルキル鎖に変えることによって、その分子が例えばグラファイト表面に位置することが出来ると考えられる。本研究は新しい長鎖アルキル鎖を持つ動的な有機金属錯体の合成とそれらのグラファイト表面に配置機能の検討目的としている。 【研究成果】本研究の基礎として三つのシクロヘプタトリエンの二核錯体の合成を行った。この化合物の動的特性をNMR実験より研究した。また様々な転移の選択性に関して理論的な計算を行って、選択性規則を確立した。長鎖アルキル鎖を持つシクロヘプタトリエニル錫の合成(1)を遂行した。最後のステージの収率はかなり低いが、サイドプロダクトとして錫原子を2コ含む化合物(2)を生成した。1と2を用いてグラファイト表面に配置する実験を行った。今までEXSY NMR実験による化合物1の分子内ダイナミクス、および化合物2の自主的に組織された単層を得た。 新しい有機金属化合物トリフェニルシクロオクタテトラエニルスズ(3)およびディフェニル(オクタデシル)シクロオクタテトラエニルスズ(4)の合成を遂行した。化合物3および4の分子内転位の速度をNMR EXSYにより測定した。 新しい二核錯体、η^<6_>トリカルボニルクロミウムトリフェニルシクロオクタテトラエニルスズ(5)の合成を遂行した。可能な4種類の異性体のうち熱的安定性のため3のみがNMRによって観察された。錯体3の二つエナンチオマー体は可逆的な平衡にあり、ジアトロピック転位反応が進行していると考えられる。
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Research Products
(5 results)