2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17034010
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西川 恵子 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60080470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 剛 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (80332633)
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Keywords | 超高感度示唆熱分析 / イオン液体 / 凝固・融解課程 / pre-melting / 回転異性体 / 磁性イオン液体 / 細胞分裂 / 磁場効果 |
Research Abstract |
1)イオン液体の凝固・融解過程:イオンだけから構成されているにも関わらず、室温で液体である物質群「イオン液体」について、「なぜ融点が低いのか?」を解明すべく、我々は、凝固・融解過程の特質を詳細に調べる実験を始めた。nJの感度と安定性を有し、かつ準静的と近似できる熱変化を可能にした手作りの示差熱分析(DSC)装置を用いて、[bmim]Cl、[bmim]Br、[bmim]FeCl_4などについて、結晶⇔液体の相転移における詳細な熱物性の実験を行った。(bmim : butyl-methyl-imidazorium) [bmim]Brにおいては、10K以上にわたるpremeltingの存在が明らかになった。すなわち、premeltingはカチオン中のブチル基の回転異性体の構造変化を伴っている。しかも、数百〜数千のカチオンが共同的に構造変化をしている。凝固過程のDSCトレースに現れたピークの割れは、ブチル基の立体配座がGTのものはすぐ凝固できるが、TT配座のものは、GT配座に構造を変えて凝固するため、時間的遅れが生じるためである。このように、凝固・融解過程は、共同的な内部構造の変化を伴っており、このことがイオン液体を凝固しにくくしている一因子であると結論した。 [bmim]FeCl_4は、磁石に付く液体として話題を呼んだ磁性イオン液体である。この試料に対して、凝固・融解過程の磁場効果を調べるために磁場印加DSCで実験を行った(磁場は0〜6Tの範囲で変化)。凝固点・融点は顕著な磁場効果を示す。この挙動は、磁場が無い場合の安定な結晶構造と磁場が創り出す安定なイオン配列とが異なっているためとすると説明できる。凝固・融解過程でこのような大きな磁場効果が観測されたことは興味深い。 2)熱で観る生命の誕生:休眠状態のプランクトン(ブライン・シュリンプ)の卵1個に水を添加し、孵化の際の熱の出入りを観測した。細胞分裂が間歇的に起こり、その際に出入りする熱量も我々が製作した装置で測定できることが明らかになった。また、異なる組織に変化していく細胞の形成過程が、組織に応じた吸熱・発熱パターンとして観測されたと思われる。
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Research Products
(2 results)