2005 Fiscal Year Annual Research Report
α-ジスルフォン酸錯体による単結晶フォトクロミズムの反応ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
17034018
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中井 英隆 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70377399)
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Keywords | フォトニック結晶 / フォトクロミズム / 反応ダイナミクス / 有機金属錯体 / ナノ材料 |
Research Abstract |
本研究の目的は、可逆な光応答機能をもつ新規α-ジスルフォン酸錯体による単結晶フォトクロミズムの反応ダイナミクスの解明を通して、次世代記録媒体開発のための基礎科学を確立することである。本単結晶フォトクロミックシステムにおける特徴のひとつはCp^*(シクロペンタジエニル)配位子の回転運動に基づく「動的反応空間」の中でα-ジスルフォン酸ユニットのフォトクロミック反応が進行することである。本年度は、研究実施計画(平成17年度)に従い、フォトクロミック単結晶における「1.分子構造変化」「2.結晶形態変化」のダイナミクスに着目し研究を進めてきた。以下にその成果を示す。(1)「動的反応空間」の温度コントロールにより、本フォトクロミック反応の初期に生成する立体異性体の生成分布(分子構造変化)に相違が見られた。この結果は、本単結晶フォトクロミズムの特徴のひとつである「結晶中で進行する選択的反応」のダイナミクス解明につながるものである。(2)Cp^*配位子の化学修飾により、「動的反応空間」の柔軟性を著しく低下させることができた。結晶内での回転運動の障害となるエチル置換基を導入したCp^<Et>配位子を用いた錯体の結晶相フォトクロミック反応では、光反応の進行に伴い結晶にクラックが入る(巨視的な「結晶形態変化」に相違が見られた)。すなわち、本単結晶フォトクロミズムにおける「動的反応空間」の果たす役割を明らかにすることができた。これらの成果は、平成17年12月(ハワイ、コナ島)で行われた1st ISPCCS国際会議での招待講演含めて、国内外の国際学会、討論会で発表した(計8件)。また、本研究遂行に伴い派生した研究成果を4報の学術論文として発表した(次ページ参照)。
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