2005 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスコピックな動的反応場における光誘起電子移動反応に関する研究
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17034020
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高見澤 淳 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 科学技術振興研究員 (80377605)
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Keywords | 局所場 / 質量分析 / レーザーアブレーション / CO_2レーザー / レーザー / イオン化法 / DIOS / MALDI |
Research Abstract |
ナノサイズのドメイン内部は新たな動的化学反応場として利用できる可能性が高く,この空間的特異性や階層構造を理解することが極めて重要な課題である.申請者は現在利用している質量分析計を用いてこのような不均一系反応の追跡手段を確立することを目指している.またMALDIの替わりとしてサンプルプレートに多孔質シリコンを用いたDesorption/Ionization On Sillicon(DIOS)法が最近よく使われているが、この方法におけるイオン化のメカニズムについては、シリコン微細孔における固液界面の現象が密接にかかわっていると考えられるが詳細は不明である。本研究ではこのような固液界面での光イオン化過程にも着目して研究を行っている。今年度は主に時間分解質量分析装置製作、レーザーアブレーションによる脱離・イオン検出の基礎実験を行った。生体サイクル反応のモデルとして研究されているBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応検出のための基礎実験としてフェロイン溶液を用い実験を行った。結果よりフェロインの2価イオンは検出できたが、酸化して行った3価イオンは検出されなかった。この結果は2価と3価で錯イオンの溶媒和構造が違うことに起因していると考えられる。この実験装置を利用して購入したパルスYAGレーザーを光化学反応励起用に用い光化学反応、不均一反応の時間分解検出を目指す。真空MALDI装置では赤外レーザー、紫外レーザーの同時励起が行えるようにした。基礎実験として多孔質シリコンを用いて紫外レーザー照射、赤外レーザー照射の比較を行った。その結果として紫外照射と赤外照射ではDIOSにおけるイオン化のメカニズムが違うという結論に達した。紫外照射の場合はシリコンプレートが光を吸収して水のプロトンを引き抜いている可能性がある。また、結果よりイオン化の効率は穴のサイズに明確に依存する。従って微細孔という局所場が関係していると考えられる。この研究ではさらに同時照射を行いイオン化のメカニズムを検討する。
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