2005 Fiscal Year Annual Research Report
シングルセル代謝分析に基づいた植物感染応答反応の動的解析
Project/Area Number |
17034031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 昭雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30115844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶山 慎一郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 客員助教授 (20243496)
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Keywords | レーザ細胞加工 / シングルセル / 代謝産物分析 / 植物感染応答 |
Research Abstract |
本研究では,パルスレーザーを用い,標的細胞から細胞内容物を取得する技術,標的細胞に対して刺激を与える技術,レーザー顕微分光解析,及びNano Flow LC-ESI-MS分析を運用し,植物細胞のおける感染応答反応時に誘起される代謝変動を個々の細胞レベルで把握することを目的としている。播種後7日目エンバク第1葉切片約5X10mmのエンバク表皮細胞に対して0.97mMの濃度で24〜36hエリシター処理した葉片から標的細胞からレーザーマイクロサンプリングを行い,得られた試料をNano Flow LC-ESI-MSに供して,ファイトアレキシンであるavenanthramide Aの分析を行った.また,avenanthramide生合成経路に関与する酵素HHT1遺伝子の1細胞レベルでの発現解析をRT-PCR分析によって行った.その結果,個々の細胞から検出されるavenahthramide Aの量(18μM〜840μM),及びHHT1遺伝子の発現量に差が見られた.本結果は,細胞ごとにエリシター刺激に対する応答に差があることを強く示唆してる.次に,標的1細胞に対して刺激を与える技術開発を行った.ArFエキシマーレーザーは,植物組織表層の微細加工に優れており1細胞レベルで細胞を生かしたまま加工することが可能である1).この特性を活かし,エンバク表皮細胞に対してレーザー照射し,細胞壁蛍光染色試薬を含んだ水溶性エリシター処理液を散布した結果,照射部分のみ染色試薬由来の蛍光が観察された.15時間後には,蛍光試薬が照射部分から細胞全体に広がった.当該手法によりエンバク葉表層の疎水性クチクラ層を取り除き,標的細胞に対してエリシター処理を施すことが可能となった.従って,処理細胞および周辺細胞の1細胞レベルでの動的代謝変動解析を行うことが可能となった.
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