2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17034037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 憲昭 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (70176098)
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Keywords | 結晶 / 金属錯体 / 光反応 |
Research Abstract |
固体結晶として金属錯体イオン結晶での光反応に焦点をしぼり研究を進めた。 1.Ru錯体結晶でのホトクロミック反応として[Ru(tpy)(bpy)(dmso)](SO_3CF_3)_2について調べた。この錯体は光照射により金属配位が光異性化により変化し、かつ、それらの状態が発光検出可能で、熱的に元に戻るといわれている。しかし結合状態が変化するのに発光が検出可能というのは疑問があり、研究対象とした。結晶の時間分解発光スペクトル測定により、異性化前の発光種が550ps程度の寿命を持つことがわかった。この系の溶液やフィルムドープ系での過渡吸収測定を試みながら、類似化合物の合成を含めて反応の妥当性を検討中である。 2.Osを含む様々な[Ru(bpy)_3]X_2塩結晶の発光減衰曲線から励起移動とホッピング速度の距離依存性を考察してきたが,距離の見積りの点で双極子のランダム配向を近似して金属イオン間距離を用いてきた点に問題点があった。今回、より精度を上げるため結晶での錯体中3配位子の双極子間距離とそれらの配向を全て考慮し、エネルギー移動の距離依存性を再評価した。その結果、励起移動の配位子・対イオンを介したホールの超交換相互作用の存在を明らかにした。 3.白金錯体は平面4配位で様々な集積構造を示し、金属間結合だけでなく芳香環のスタック様式によって面白い性質を示す。[Pt(II)(dpphen)(CN)_2]が溶液中でエキシマーを生成することをヒントに、結晶においてもその生成ダイナミックスが観測できることを見出した。また結晶多形を観測する中で結晶成長の興味ある時間変化とスペクトル変化を見出した。 4.光励起により構造変化が期待できる鉄や銅錯体化合物を合成し、その単結晶を作製して、ピコ秒時間分解X線構造変化の測定を共同研究により開始した。その結果、高スピンdd励起状態に基づくと思われる回折ピークシフトの観測に成功した。
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