2005 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性液体-蛍光性半導体ナノ結晶界面構造反応の単一粒子・単一分子蛍光計測
Project/Area Number |
17034042
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 物質科学教育研究センター, 教授 (40221197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 靖哉 奈良先端科学技術大学院大学, 物質科学教育研究センター, 助教授 (80324797)
中嶋 琢也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (70379543)
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Keywords | 半導体 / 発光 / 量子ドット / 単一粒子蛍光計測 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
II-VI族半導体は発光性材料として広く研究されてきた。特に近年、ナノメートルサイズの半導体結晶においてその発光現象が広く検討されている。ナノ結晶の構造上の特徴として、表面に有機分子を保護層として有していることが挙げられ、さまざまな有機配位子に関する工夫や提案も進められている。このように半導体ナノ結晶は有機化学からの工夫の余地が広く、また界面におけるダイナミックな反応の解析と制御を目指す本特定領域の趣旨からも興味深い研究対象のひとつであると考えられる。 本課題研究者らはこれまでに化学合成法によって調製した水溶性半導体ナノ結晶の発光特性がイオン性液体中で顕著に増強されることを見出した(Chem.Commun. 2005)。イオン性液体中で表面保護分子間の静電反発を弱めることで保護分子の脱離を抑制し、さらに脱離後に生成するチオレートアニオンに対する溶媒和を抑制することで、表面保護分子の脱離を効果的に抑制できたものと理解している。興味深いことに、蛍光量子収率は2倍以上に増強されるが蛍光寿命はほとんど変化しないことが見出された。このことは蛍光寿命計測では非蛍光性あるいは弱蛍光性の粒子の挙動が反映されないことに起因すると考えられ、系のゆらぎを直接観測したHaらの結果とよい対応関係にある。さらに、最近、重合性官能基を有するイオン性液体を用い、CdTeナノ結晶を含有した状態で熱あるいは光重合を行うことにより、高蛍光性樹脂材料の開発に成功した(Chem.Lett. 2005)。重合性のイオン性液体を用いても、通常のイオン性液体と同様に水溶液からの発光効率の2倍程度の増大が観察され、重合の前後で発光強度の低下が観察されないことから、高い発光性の半導体ナノ結晶-ポリマー複合材料を得る優れた手法として提案できた。
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