2005 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノロッドの光反応に誘起される単一細胞内反応の設計と計測
Project/Area Number |
17034049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新留 康郎 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (50264081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新留 琢郎 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (20264210)
山田 淳 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (30136551)
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Keywords | 金ナノロッド / 遺伝子導入 / 能動放出 / 光線力学的治療法 / 近赤外光 / 散乱プローブ |
Research Abstract |
金ナノロッドとプラスミドDNAおよびタンパク質との複合体を形成し、近赤外近赤外パルスレーザー光照射によってこれらの機能物質が放出される系を構築した。プラスミドDNAはレーザー照射によって約1%のDNAが発現可能になることがわかった。ミオグロビンを用いたタンパク質の放出では、金ナノロッドへの吸着によってタンパク質の3次構造が変化すること、さらに光放出は可能であるものの3次構造は元に戻らないことがわかった。 金ナノロッド複合体をHela細胞に導入し、近赤外光照射による細胞破壊を実現した。細胞破壊は金ナノロッドの球形粒子への光変形を伴っており、球形粒子に返還後は光照射によっても全く反応を起こさないことがわかった。すなわち、最初の光照射によってごく短時間に細胞破壊を引き起こし、その後の照射では全く細胞にダメージを与えないという新しい光化学的細胞破壊が可能であることを示した。また、この光反応は局所的かつ過渡的に熱を細胞に供給して細胞破壊を引き起こすので、金ナノロッドに染色された細胞を選択的に破壊し、染色されていない細胞についてはダメージを与えないということも明らかにできた。これらの特徴を生かすことで新規な光線力学的治療法を実現できると考えられる。 金ナノロッドに高分子の保護層を付与し、さらにプラスミドDNAとの複合体を形成させることで、培養細胞への遺伝子キャリアーとして機能することを見いだした。金ナノロッドが細胞に取り込まれている様子は近赤外光による散乱像によって明らかにすることが可能であった。すなわち、金ナノロッドは遺伝子キャリアーであると同時に散乱光でその分布状態を示すことができる新規なプローブ粒子として機能することがわかった。
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