2005 Fiscal Year Annual Research Report
透明化したナノ層状有機-無機ハイブリッド化合物の光応答形態変化ダイナミクス
Project/Area Number |
17034053
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井上 晴夫 首都大学東京, 都市環境学部, 教授 (90087304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 哲也 首都大学東京, 都市環境学部, 助手 (50252317)
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Keywords | ナノ層状化合 / 粘土 / ポルフィリン / 吸着 / アゾベンゼン / 光異性化 |
Research Abstract |
粘土鉱物は2次元平面が積層したナノ層状化合物として知られており、新しい化学反応場として注目されている。我々は既に多種類のカチオン性多フッ素化界面活性剤をナノ層状粘土の層間にインターカレーションできることを報告してきた。特に興味深いのは、多フッ素化界面活性剤の添加量を調節することにより、層間に形成される微小空間のサイズを制御できる点にある。縦方向で3nm横方向で<1nmの範囲で制御可能な微小空間はその周囲が多フッ素化された極めてユニークな化学反応場を提供する。本研究では、ナノ層状微小空間を一層、能動的に光で制御することを意図し、新たに分子内に光応答性を有するアゾベンゼン部位を導入したカチオン性多フッ素化界面活性剤(C3F-Azo-S;Figure 1)を合成し、ナノ層状空間へのインターカレーション挙動、光化学挙動などについて興味深い知見を得たので報告する。新規多フッ素化界面活性剤カチオン交換性粘土(スメクトンSA)に従来の方法で対カチオン交換容量(CEC)4倍前後までインターカレーションすることができた。微細構造はXRDなどにより明らかにすることができた。粘土/界面活性剤複合体を透明の薄膜化することにも成功した。透明薄膜に紫外光(365nm)、可視光(458nm)を照射すると、ナノ層状空間に閉じ込められているにもかかわらず、効率よく可逆的にトランス-シス異性化することを見出した。さらに興味深いことに、複合体の層間距離が異性化と共に、可逆的に拡大-縮小することがわかった。さらに、アゾベンゼン含有多フッ素化界面活性剤をニオブ酸層間に、独自の2段階ゲスト-ゲスト交換法でインターカレーションすると螺旋型ナノチューブを形成することを見出した。このナノチューブへの光照射により、効率のよいトランス-シス異性化が進行することも見出した。光応答型ナノチューブとして最初の例として興味深い。
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Research Products
(6 results)