2005 Fiscal Year Annual Research Report
極微構造における素励起の時空間コヒーレンスの起高時間分解近接場分光
Project/Area Number |
17034062
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
岡本 裕巳 分子科学研究所, 分子構造研究系, 教授 (20185482)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / プラズモン共鳴 / 金属微粒子 / ナノロッド / 波動関数 / 空間コヒーレンス / 超高速現象 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は,近接場で極めて高い時間分解能の超高速測定を行い,素励起の時空間コヒーレンスに関る現象を追跡することである。そのために,近接場プローブに用いられている光ファイバーで問題となる群遅延分散を補償する光学系を開発し,二十フェムト秒を切る時間分解能の実現を目指す。本年度は分散補償光学系の構成をデザインした上で,それに必要な可変形鏡その他の光学コンポーネント,測定に必要な部品類等を購入し,光学系の開発を行った。現状ではまだ光学系の構築が完了しておらず,来年度に引き続き開発と測定を行う予定である。 並行して,金属ナノ微粒子(ナノロッド,ナノ三角プレート)や球状微粒子凝集体の光学特性を,近接場イメージングと近接場超高速測定によって研究した。近接場イメージングによって,微粒子内のプラズモンモードの波動関数形状が観察できること,超高速測定と数値解析によって,光励起後の電子温度の上昇とその緩和がプラズモンモードに及ぼす影響を明らかにした。また微粒子凝集体では,微粒子周辺の電場増強の空間分布が近接場測定によって可視化できることを示し,微粒子と微粒子の間隙に生じる大きな電場増強が,表面増強ラマン散乱の主要な起源であることをイメージングによって明らかにした。金属ナノ微粒子と有機色素分子の共存した系において,プラズモンモードが光化学反応に及ぼす効果について基礎的検討を開始したが,現在までのところ,励起されるプラズモンモードに特徴的な反応は見いだせていない。
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