2005 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルス光誘起固体表面反応における核波束ダイナミクスの観測と制御
Project/Area Number |
17034063
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
渡邊 一也 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助手 (30300718)
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Keywords | 振動コヒーレンス / 表面SHG / アルカリ原子 / 超高速分光 / 時間分解振動分光 |
Research Abstract |
本研究では、ピコ秒〜フェムト秒オーダーの極短パルスレーザー光を用いた時間分解分光により、固体表面吸着種の光誘起反応初期過程のダイナミクスを解明し、その知見に基づいた光化学反応制御の可能性を探索することを目的とする。今年度は以下の2点に焦点を絞った研究を行った。 1.アルカリ吸着金属表面での振動コヒーレンス誘起機構の解明 K/Pt(111)およびNa/Cu(111)の系について、2光子光電子分光による表面非占有状態の観測、およびフェムト秒時間分解第2高調波測定の励起光子エネルギー依存性を調べた。振動コヒーレンスの振幅は、ともにアルカリ由来の表面電子準位間の遷移に共鳴する条件で増大し、表面局在電子状態の励起がコヒーレンスを誘起することがわかった。また、K/Pt(111)系において、励起光のs,p偏光依存性を調べた結果、異なる偏光によるコヒーレント振動振幅の比はPt基板バルクの吸収係数の偏光依存性では説明できず、この結果からも振動コヒーレンスを誘起するのは表面局在励起の可能性が高いと結論された。 2.超高真空下での超高速時間分解赤外-可視和周波発生振動分光システムの構築 レーザー波形変調による反応確率や振動ダイナミクスの変化を観測するためには高い時間分解能を有する表面振動分光システムが必要である。このために有効と考えられる、フェムト秒赤外光を用いた赤外・可視和周波発生(SFG)振動分光システムを構築し、システムの有効性を確かめるためPt(111)上の一酸化炭素・重水共吸着系での振動緩和ダイナミクスの研究を行った。フェムト秒近紫外パルスにより誘起されるCOの束縛振動励起状態の緩和速度が、重水の共吸着により著しく増大することを見出した。
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Research Products
(1 results)