2005 Fiscal Year Annual Research Report
カスケード型ヘテロ付加環化反応を基盤とする生物活性天然物の合成
Project/Area Number |
17035032
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
平井 美朗 富山大学, 理学部, 教授 (70111747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 眞宏 富山大学, 理学部, 助教授 (70209899)
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Keywords | ヘテロ付加環化反応 / ヘミアセタール中間体 / 2価のパラジウム触媒 / カスケード型環化反応 / 生物活性天然物 / スピロケタール環 / spirofungin A / spirofungin B |
Research Abstract |
申請者は、これまで独自に,2価のパラジウム触媒用いるヘテロ付加環化反応を見い出し,この反応を用いてピペリジンアルカロイドやポリエーテル類の合成を行ってきた。さらに最近,アルデヒド基とアリルアルコール部を有する化合物を,アルコール存在下2価のパラジウムで処理することにより,環化反応が円滑に進行し,添加したアルコールを取り込んだ環化生成物を選択的に得ることに成功,この反応を用いて,5-epi-prelactone Cの新規な合成を行っている。 今回,申請者は,2価のパラジウム触媒用いるヘテロ付加環化反応を分子内のカスケード型環化反応に応用した。その結果,スピロケタール環を立体選択的に構築することを見い出した。 さらに申請者は,プロピオネート系天然物にはスピロケタール環を有する化合物が数多く存在し,それらの多くは興味深い生理活性を有していることに着目し,独自に見い出したカスケード型環化反応を用いて,ポリケチドの一種であり種々の抗菌活性を有する天然物spirofungin A及びBの全合成を試みた。 まず,Spirofungin Aを3つのセグメントに分割し,各セグメントを合成した後連結する収束的合成法を取った。合成上最も重要なセグメントであるスピロケタール体は,Pd(II)触媒を用いた分子内環化反応を用いて構築した。現在,他のセグメントの合成も完成しており,それらのセグメントの連結を行っているところである。これらの成果に関しては学会の講演会を通じて多数発表して来た。また現在,成果を論文に取り纏め中である。 著者らの開発した手法は,スピロケタール環を有する天然物の合成に極めて有用な手段を提供するものと考えている。今後,さらなる展開が期待される。
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