2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17035040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小鹿 一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50152492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 浩二 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40203533)
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Keywords | オニヒトデ / Acanthaster planci / 神経突起伸長 / 神経成長因子 / PC12細胞 / 海洋生物 / ステロイド配糖体 / ERK |
Research Abstract |
オニヒトデは沖縄などで珊瑚を荒らすため大量に駆除されている。オニヒトデのサポニンのうちあるものがラット由来PC12細胞に対し神経突起伸張作用を示すことを見出し、その構造解析、作用、作用機構の研究を行った。 1.分離:沖縄県で採集したオニヒトデAcanthaster planciをメタノールで抽出し、逆相カラム次いでシリカゲルカラムで分離し、新規サポニン類を含む画分を複数得た。これらをHPLCで繰り返し精製した結果、合計23種のステロイド配糖体を純粋に得ることに成功した。 2.構造解析:NMRを中心とする構造解析の結果、17種は新規化合物であった。全てステロイド母核と五単糖から成り、一群のファミリーを形成していた。また構造の多様性は、ステロイド母核の酸化(水酸化や二重結合の位置)の様式、側鎖の枝分かれの様式、五単糖の数(1個か2個)と種類(xyloseかarabinose)により生じていた。 3.神経突起伸張作用:ラット由来PC12細胞にステロイド配糖体を投与しNGF様神経突起伸張活性を調べた結果、ステロイドC-3位と枝分かれした側鎖に五単糖を1つずつ有するものが最も高い活性を示した。このタイプのステロイド配糖体はこれまで稀であった。C-3位のみに五単糖を有するもの、側鎖に二糖を有するものはほとんど活性を示さなかった。次いで微量NGF(1.5ng/ml、神経突起伸張は示さない)存在下でステロイド配糖体を投与してNGF活性増強効果を調べた結果、ほぼ全てのステロイド配糖体がNGF活性増強効果を示した。 4.作用機構:NGF様の神経突起伸張活性の作用機構を、NGFによる細胞内シグナル伝達系の関連で調べた。その結果、MAPキナーゼカスケードで重要なERKのリン酸化を促進して活性化するが、NGFの受容体TrkAは活性化しないことがわかった。
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Research Products
(2 results)