2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジテルペン配糖体をツールとする細胞内信号伝達経路の解析と制御
Project/Area Number |
17035051
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 修雄 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50150537)
|
Keywords | 細胞内信号伝達 / ジテルペン配糖体 / コチレニン / 14-3-3タンパク質 / isoform選択性 / クロスリンク / 細胞分化誘導活性 |
Research Abstract |
H^+-ATPaseは14-3-3タンパク質の会合によって活性化される。ジテルペン配糖体コチレニン(CN)は、この会合状態を安定化することで、強力な植物ホルモン様活性を示す。14-3-3タンパク質が細胞内信号伝達系を制御しているので、CNは、細胞内信号伝達経路の解析と制御に極めて有用なツールとなり得る。我々は、CN糖鎖上のエポキシドが急性骨髄性白血病細胞(HL-60)に対する分化誘導活性を増強することを見出している。このことは、CNが14-3-3タンパク質と共有結合を形成し、そのペプチド捕捉能を増強しているためと推定した。ヒト14-3-3には、7種のisoformが知られるが、それらのペプチドおよびCN結合サイト周辺にエポキシドと反応可能なCysteinはsigma isoformにのみ存在する。そこで、【CNは14-3-3 sigmaに共有結合し、そのペプチド捕捉能を増強する】との仮説を立て、その実証研究を遂行した。 14-3-3 sigmaを大腸菌によって発現・取得し、実際にCNとクロスリンクすることをSDS-PAGEおよびMALDI-TOF Mass測定により確認した。結合溝近傍にCysteinを持たないzeta isoformは何ら変化せず、この反応はsigma isoform選択的である。 さらに、CN修飾14-3-3 sigmaがH^+-ATPaseペプチドに対する捕捉能を保持していることを、等温滴定カロリメトリーで評価し、非修飾の場合に3.4μMである解離定数が、修飾体で0.022μMと著しく減少し、CNによる修飾が14-3-3 sigmaのペプチド捕捉能を増強していることを立証した。 14-3-3タンパク質のisoformの詳細な役割は全く未解明であり、CN修飾sigma isoformは、その機能解明ツールとして極めて有効である。
|