2005 Fiscal Year Annual Research Report
エポキシドからの遠隔不斉転写を基盤とするカスケード型中員環形成反応の開発
Project/Area Number |
17035054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 敬 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (30135032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 道子 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (30379888)
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Keywords | 有機合成 / 不斉合成 / 不斉転写 / 環形成反応 / 転位反応 / 含ケイ素有機化合物 |
Research Abstract |
本特定領域の助成を得て行った研究により,これまでに以下に示すような結果が得られた. (1)ホモキラルなδ-シリル-γ,δ-エポキシ-α,β-不飽和アシルシランとアルケニルメチルケトンとの反応で,31-60%の化学収率および15%eeで[3+4]アニュレーション成績体であるシクロヘプテノン誘導体が得られることがわかった. (2)以前の研究から,アニオニックオキシCope転位の段階が鎖状ケトンの場合と比較して速いことがわかっている,環状ケトンのエノレートとホモキラルなδ-シリル-γ,δ-エポキシ-α,β-不飽和アシルシランとの[3+4]アニュレーションを行ったところ,不斉収率が大幅に向上した. (3)エポキシシランを有するエノレートを四炭素単位とする[3+4]アニュレーションを行ったところ,シリル基の酸素原子から酸素原子への1.4-転位を経て(1)とは逆の絶対配置を持つシクロヘプテノン誘導体が得られた. (4)(1)において,アシルシランに対するエノレート付加体(ジアステレオマー混合物)単離した後にLDAを作用させることによって対応する中間体を発生させたところ,ジアステレオマー間で反応性および生成物の光学純度が異なることが明らかになった. (5)他の分子内過程でもエポキシドからカルバニオンへの不斉転写がおこることを明らかにした.すなわち,エポキシドからの不斉転写で生成したキラルカルバニオンをラセミ化することなく[2,3]-Wittig転位で捕捉することに成功した. (6)エポキシドからの不斉転写によりニトリルのα位にキラルカルバニオンを発生させることに成功し,さらにカルバモイル基の強力なキレーション効果を活用することにより,α-ニトリルカルバニオンにある程度の寿命を持たせ得ることが判明した.
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