2005 Fiscal Year Annual Research Report
発作時のみ効果を発揮する抗不整脈薬の開発:イオンチャネル結合様式を考慮した創薬へ
Project/Area Number |
17035056
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山岡 薫 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (10200586)
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Keywords | イオンチャネル / 電位依存性Naチャネル / 抗不整脈薬 / 創薬 |
Research Abstract |
[目的] 本研究においては不整脈を引き起こすような副作用はなく、また一旦発生した不整脈に対しては効果が大きい理想的抗不整脈薬の開発を行うことを目的とした。 [結果] (1)Naチャネルの性質を基に理想的抗不整脈薬の基準を作成。 Naチャネルブロック作用が適切なタイミングで作用することが理想的抗不整脈治療であることを基本概念とし、抗不整脈薬のNaチャネルブロックのキネティクスと抗不整脈薬の関係を見直すこととした。 その結果 1.tonic block作用がほとんどない。 2.解離速度が速い。 3.ブロック効果が心拍数200以上で強く出ること。 という性質を同時に備えることが望ましいと考えられた。 (2)理想的抗不整脈薬基準に基づいた既存の抗不整脈薬の評価 従来の抗不整脈薬のうち、lidocaine, mexiletine, disopyramide, bupivacaine, pilsicainideについて、(1)で得られた基準を参考に比較検討した。その結果tonic blockの強い順にbupivacaine>lidocaine>mexiletine>pilsicainide>disopyramideとなった。また薬剤の離れる速度は速い順にlidocaine=mexiletine>bupivacaine>>disopyramide=pilsicainideであった。従ってこれらの薬剤のなかではlidocaineはbupivacaineよりpKa値が高いにもかかわらず解離速度が速い良い性質を持っていることがわかった。 (3)薬剤開発のストラテジー 脂溶性が高くなると解離速度が速くなる傾向が見られることから,塩基性と脂溶性のバランスが薬剤の開発に重要と考えられる。したがってこれらの薬剤が共通して持っている骨格であるベンゼン環と塩基性アミンのうち、塩基性アミン側について修飾を加え、第一世代の合成候補とした。
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