2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル種およびイオン種連動型タンデム反応の開発と生体機能分子の合成
Project/Area Number |
17035088
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
内藤 猛章 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00068339)
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Keywords | タンデム反応 / ラジカル反応 / オキシムエーテル / 共役付加反応 / エナミン / ラクトン / アルドール反応 |
Research Abstract |
一度の反応操作で数種類の反応を連続的に行い,複数の結合を構築するドミノ型反応は有機溶媒の使用量の削減や精製過程の省略化を実現でき,グリーンケミストリーに適した反応である.しかし,大部分のドミノ型反応は,イオン種またはラジカル種のみからなる連続型反応でありラジカル反応とイオン反応を連続的に組み合わせた反応はほとんど報告例がない.我々は新規ドミノ型炭素-炭素結合反応としてエナミンを経由するラジカル付加-アルドール型反応の開発に着手し,所期の目的を達成しつつある. 1.位置選択的および立体選択的ラジカル共役付加反応 まず,共役キシムエーテルへの位置および立体選択的アルキルラジカル付加反応を達成した後,重水中での反応およびNMRサンプルチューブ内でのラジカル反応によりE-(N-ボリル)エナミンの生成を化学的およびスペクトル的に確認した. 2.タンデム型ラジカル付加-アルドール型反応 共役キシムエーテル,ヨウ化アルキル,アルデヒドおよびMe_3Alのジクロロメタン溶液還流中にトリエチルボランを滴下したところ,位置選択的ラジカル付加,アルドール型反応さらにラクトン化に伴うカンファースルタムの脱離が連続的に進行し,γ-ラクトンが高収率でtrans体を主生成物として得られた.本反応はラジカル反応によって生成するエナミンをイオン的に捕獲したはじめての反応例であり,様々なアルキルラジカルとアルデヒド類を組み合わせることにより,多種多様なγ-ラクトンの合成が可能になった.以上のように,我々は位置および立体選択的ラジカル共役付加反応を見出し,さらにラジカル反応進行後に生成するN-ボリルエナミンをイオン的に捕獲する新規タンデム型ラジカル付加-アルドール型反応を開発した.
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Research Products
(1 results)