2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の配位空間制御を応用した生体機能可視化センサー分子
Project/Area Number |
17036012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊地 和也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70292951)
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Keywords | ランタノイド錯体 / Tb^<3+> / Eu^<3+> / antenna / 時間分解蛍光測定法 / 長寿命蛍光 / 配位空間変化 / 分子スイッチ |
Research Abstract |
Tb^<3+>やEu^<3+>等の蛍光性ランタノイド錯体は,適切な吸光団(antenna)を組み込んだ配位子と錯体を形成した場合,antennaの励起に引き続いて生じるエネルギー移動により金属特有の蛍光を発する.この蛍光は長い蛍光寿命を持つため,時間分解蛍光(TRF)測定法を用いたS/N比の高い測定が可能となる.これまでの研究では,Eu^<3+>錯体は蛍光標識剤として用いられてきたが,本研究では配位空間変化に基づくスイッチ機能を分子に付与することで,TRF顕微鏡での機能性長寿命蛍光センサー分子としての使用を目指した.このために,亜鉛イオン(Zn^<2+>)配位によって配位空間変化を起こすことで蛍光制御スイッチ機能を持ち,蛍光強度が上昇する機能性Eu^<3+>錯体をデザイン・合成し,TRFイメージングを行った.antennaに配位空間変化をもくろむデザインを行うことによってEu^<3+>へのエネルギー移動過程を制御し,種々の生理活性分子を認識できる蛍光Eu^<3+>錯体が開発できると考えた.そこで,顕微鏡に用いることができる350nm以上で励起可能なセンサー分子をデザインした.具体的には,quinoline構造への適切な置換基の導入によってEu^<3+>錯体(antenna)の作成に成功した.このantennaの構造に配位空間変化スイッチを組み込むことでデザインしたEu^<3+>錯体は,Zn^<2+>を選択的に認識して長寿命蛍光の増大を示した.さらに,時間分解蛍光イメージングが可能な顕微鏡システムを立ち上げ,作成したEu^<3+>錯体を用いて細胞内応用を試みた.この化合物を生細胞に応用した際,バックグランド蛍光を取り除きEu^<3+>の蛍光のみを検出し,Zn^<2+>の濃度変化を高精度で可視化することに成功した.
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Research Products
(6 results)