2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17036028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 京都大学, 工学研究科, 教授 (20174279)
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Keywords | 酵素様反応場 / カルベン配位子 / ヒスチジン / イミダゾール / 閉環メタセシス / ルテニウム / ペプチド三次元空間 / 炭素-炭素結合生成反応 |
Research Abstract |
近年、イミダゾールなどの含窒素複素環から誘導される安定カルベンを遷移金属の配位子として利用することで高い反応性や選択性を得ようとする研究が盛んである。本年度は、遷移金属配位子としてのペプチド三次元空間の創出を実現する上でかかせないアミノ酸由来配位子、およびそれを配位子とする遷移金属錯体の合成を行い、その錯体の触媒活性について検討を行った。具体的には、必須アミノ酸の一つであるヒスチジンのイミダゾール環のカルベン配位子への誘導および含ヒスチジンペプチドを配位子とするルテニウム錯体の合成を行った。さらに、このアミノ酸由来カルベン-ルテニウム錯体の閉環メタセシス反応における活性を検討し、酵素様反応場構築のための重要な手がかりを得ることに成功した。 N-Boc-ヒスチジンメチルエステル(Boc-His-OMe)のイミダゾール環の1位窒素上に、銅触媒によるメシチルボロン酸を用いるアリール化反応によってメシチル基を導入し、続いて2-(t-ブチルジメチルシロキシ)エチルブロミドと反応させることで2-シロキシエチル基を導入しイミダゾリウム塩を得た。これのt-BuOKによる脱臭化水素反応によって生成した含窒素ヘテロ環カルベンを単離することなくジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)(Grubbs錯体)と反応させたところ、一つのトリシクロヘキシルホスフィンが含窒素ヘテロ環カルベンと配位子交換されたルテニウムカルベン錯体を得ることができた。この錯体を触媒としてジアリルマロン酸ジエチルの閉環メタセシス反応を塩化メチレン中、室温で行ったところ、45分間で81%がシクロペンテンに転化した。
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Research Products
(6 results)