2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17036037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 和也 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80252550)
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Keywords | 生物無機化学 / 配位空間 / ウレアーゼ / 複核金属 / 金属酵素 / 錯体化学 |
Research Abstract |
ニッケル含有加水分解酵素ウレアーゼの活性部位を柔軟性配位空間とし、複核金属配位空間(2つの金属イオンが協同的に働く反応場)を分子設計した。金属置換法および配位空間周辺アミノ酸置換法による構造制御により、金属複核酵素の機能発現における活性部位構造因子の解明および新規機能を有する人工金属複核酵素開発のための基礎的知見を得ることを目指し、「ホモ複核金属配位空間による酸化機能発現」および「ヘテロ複核金属配位空間の構築」を行った。本研究課題の結果、ウレアーゼの活性中心金属イオンをニッケルから鉄、銅、マンガンに置換したホモ複核金属置換ウレアーゼが酸化活性(ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、オキシゲナーゼ)を持つことを見いだした。反応活性は、マンガン、鉄、銅イオンの順で高くなった。また、配位アミノ酸によって、酸化活性化状態が制御されていることも明らかにした。鉄置換体では、酸素性配位アミノ酸残基(Glu)が多いほど活性が向上し、銅置換体では、芳香族窒素性配位アミノ酸残基(His)が多いほど活性向上することがわかった。これらの研究成果により、金属酵素の活性部位の構造変異によって酵素機能が変換されるという新しい知見が得られた。さらに、本研究課題において、複核金属配位空間における2つの金属イオンが異なるヘテロ複核金属配位空間の構築にも成功した。ニッケル・鉄ヘテロ複核金属酵素として知られているヒドロゲナーゼと類似構造を活性部位に持つウレアーゼを調製した。ニッケル・鉄ヘテロ複核ウレアーゼの活性部位における2つの金属イオンは、硫黄によって架橋している。この研究成果によって、生体金属のみならず、様々な金属イオンを金属酵素内の柔軟性配位空間に取り込んだ応用性の高い新機能性人工金属酵素の開発に必要な新規手法を提唱することができた。
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Research Products
(6 results)